第一章
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猫の車椅子
その猫を見て是安正治は妻の志桜里に言った、黒髪をショートにしている細面の青年だ。職業は市役所の公務員だ。背は一七〇程で痩せていて優しい顔立ちだ。
「この猫なんだ」
「そうなの」
志桜里はその猫を見つつ答えた、茶色の髪の毛を上で団子にしている。少し面長の顔で背は一六〇位で顔立ちは穏やかなものだ。仕事は夫と同じ場所だ。
「今日私お休みだったでしょ」
「それでお義母さんと一緒に山にピクニックに行ってたな」
「そうしたらか」
「この娘見付けたのよ」
「ニャ〜〜〜ン・・・・・・」
見れば茶色で足首と尻尾の先、そして口の部分が白い猫だ。大きさから見て子猫だ。だが後ろ足がない。
その姿を見てだ、正治は言った。
「先天的にかな」
「そうみたいね」
志桜里も言った。
「この子は」
「足がないんだな」
「人でもあるでしょ」
「ああ、生まれつき手や足がない人はな」
「ごく稀でもね」
「あるよな」
「それでこの子もね」
この猫もというのだ、見れば二人を見て怖そうに怯えている。
「後ろ足がないのよ」
「そうなんだな」
「それでね」
妻は夫にさらに言った。
「明日この子病院に連れて行って」
「それでか」
「明日はお仕事だけれど午前中お休み貰うから」
それでというのだ。
「獣医さん行って来るわ」
「それで病気とかないかか」
「診てもらって後ろ足のこともね」
「聞くんだな」
「この子歩けないのよ」
「後ろ足がないからな」
それでとだ、正治もこの辺りの事情はわかった。
「だからな」
「それでよ」
「じゃあな」
「ええ、病院にね」
「それでうちでか」
「飼わない？」
「山で会ったのも何かの縁だしな」
夫は妻のこのことから考えて言った。
「それじゃあな」
「うちでね」
「飼うか。うちにはもうメアリーがいるけれどな」
「ナーーーオ」
今二人がその猫を見ている部屋の橋で濃い茶色の毛の猫がいる、雌猫でもう二歳になる。里親募集のサイトから貰った雑種の雌猫だ。
その猫を見つつだ、正治は志桜里に話した。
「もう一匹いてもな」
「いいわね」
「ああ、じゃあな」
「捨て猫か何か知らないけれど」
志桜里は後ろ足のない猫を見つつさらに言った。
「拾ったからにはな」
「うちで飼いましょう」
「そうするか」
正治は妻の言葉に頷いた、そしてだった。
後ろ足のない猫を飼いはじめた、猫はネネと名付け獣医にも診てもらった、病気はなかったがそれでもだ。
後ろ足のないことについて妻は夫に話した。
「こうしたことは珍しいみたい」
「人でも滅多にないことだしな」
「ええ、けれどね」
「それでもか」
「生きていけて」
そ
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