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ソードアート・オンライン 八葉の煌き
「代わり」の意味
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理由にはならないよ。」
さっきの顔に一瞬で戻った。こうして見るとコイツの人となりが良くわかる。例えるならこいつは狐だ。血盟騎士団と言う虎の威を借る狐、身も蓋も無い言い方になるがバカな奴だ。血盟騎士団が借りられるままの安いギルドの訳が無いだろうに。
「しっしかし…あの男は…」
尚も虎に救いを求めようとするコイツに俺は鉄槌を下す事にした。
「言い訳は聞きたくないよ……………ねえクラディール?」
「は、はい?」
「お前クビ。」
まるで世間話でもする口調で俺は言った。
対してクラディールは核兵器でも落されたのかの様な顔になった。
「な…なんだと…」
ほら見ろ、やっぱり狐だ。口調って言う化けの皮が()がれ始めた。
「言っとくけどアスナの護衛だけな?血盟騎士団には籍を残してやる。
 本部に戻って次の命令があるまで待機してろ。」
俺のほんの一掬(ひとすく)いの慰めも届かないようで俺になのかそれともキリトにか…いずれにせよ呪いの言葉であろう何かを口の中で呟きながら奴は懐から転移結晶を取り出した。
「転移…グランザム……」
かすれた声で呟いて…消える間際まで俺を憎悪に満ちた目で睨みつけていた。
「チッ…なにか言ったらその場で血盟騎士団から叩きだしてやろうと思ってたのに。」
思ったよりは自制心もあるらしい。腐っても攻略組に入れるだけの事はある、か。
…だがいずれにしてもあの男の性格上何かリアクションを起こしてくるだろう。それはキリトにか、それとも俺にか。結局の所クラディールが退団するのに充分な理由はきっとつけられる。あの手の男は自分が傷つく事を認められない。
アイツと同じで。
「……ッ、出てくんなよ…!」
俺はソイツのことが大嫌いだった。想像しただけで吐き気がするほどに。
ソイツをぶん殴るまでは死ねない…この世界には食われてやれない。
俺は自分でもぞっとするような冷たい口調でソイツの名前を吐き捨てた。
「須郷…!」

俺がアスナ…いや、結城明日奈の「代わり」を自称し始めたのは小学校三年生の時だった。
俺…木戸琢磨はやんちゃ坊主だった。成績が良いのに物を言わせて学校から家に帰ってもそのまま家にいれずカバンを投げ捨てて近くの子供と交わって泥んこになって遊ぶ。明日奈には良く擦り傷だらけの俺を笑われた。
そんなアウトドアな俺だがインドアな趣味でゲームにだけは心を奪われた…いや、冒険に心を奪われたと言った方が正解か?シューティングやパズルには目も()れなかった。雨が降った日はひたすらにRPGのみをやり漁った。広い意味では近くに秘密基地を造りに行くのも、RPGで勇者となって魔王を倒しに行くのも「現実の近所」と「画面の中の世界」と言う違いはあれど冒険に他ならない。そう言えば読書が嫌いな俺が読んでいた数少ない本はすべてファンタジー
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