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ソードアート・オンライン ーBind Heartー
クラヤミノリズム
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あるからね、これ……何かあったら責任とってもらいますから」
「はいはい。わかったよ」
ぷくっと頬を膨らませて睨んでくる細剣士に愛想笑いでそう返すと、俺は件の少年剣士に視線を戻した。
すでにクラディールと五十メートルほどの距離を取り、後ろ腰に吊った鞘からその曲刀を引き抜く。黒銀色の光を反射するS字型の刀身を持つ剣ーー≪鎌剣(シックルソード)≫を右手でくるくる回転させ、それを逆手持ちの状態で手の中におさめる。
迷宮区へ行く前にトーヤの力を見るいい機会だ。もちろんアスナに言われた通り何かあれば手を貸すつもりだが、やはりこの勝負には興味を惹かれる。
流石に名門ギルドだけあって、クラディールの得物の方が格段に見栄えがいい。両手用と片手用のサイズの違いだけでなく、トーヤの武骨な鎌剣と比べ、向こうは一流の細工職人の技とおぼしき華麗な装飾が施してある。
二人が睨み合いながらカウントを待つ間にも、周囲には次々とギャラリーが集まってきていた。無理はない、このSAOに名を轟かすKoBのメンバーが無名のプレイヤー相手にデュエルを受けているのだから。
クラディールは飾りの多いその両手剣を中段やや担ぎ気味に構え、前傾姿勢で腰を落としていた。明らかに突進系の上段攻撃の構えだ。
対するトーヤは腰を軽く下ろして剣を中段下げ気味に持った、攻防を一体とした受身系の構えをとる。
人間のプレイヤーはモンスター以上に、繰り出そうと意図する剣技の癖が事前に現れるものだ。その情報を構えから与えてしまうことは、対人戦闘では致命的なミスとなる。
いかにして相手の先を読むか、そのへんはもう勘と経験に頼るしかない。
カウントが一桁になった時、周囲の空気が一斉に静まり返った。
最後までトーヤとカウントウインドウの間で視線を往復させていたクラディールの動きが止まり、全身がぐっと緊張した。しかし、トーヤの身体はゆったりと元の構えをキープさせ、その目は確実にクラディールのみを刺していた。
トーヤの方が、修羅場慣れしている。俺は直感的にそうとらえていた。
思考を巡らせているうちに、カウントは残り三秒を切る。
ーー残り二秒、−−一秒、ゼロ。
二人の間の空間に、紫色の閃光を伴って【DUEL!!】の文字が弾けたほんの一瞬後にクラディールの身体が動き始める。
両手用大剣 突進技 ≪アバランシュ≫
クラディールの初動は俺の推測通り、両手用大剣のダッシュ技だった。
しかし、対するトーヤの動きは剣技に入るためのモーションのそれではない。いきなり踏み込んだ足を軸に身体を回転させてクラディールの技の太刀筋を、紙一重でかわした。
俺の隣でアスナが息を呑む。さっきまで受身系の構えを見せていたトーヤが、攻撃を受け止めるでも打ち返すでも無く、完璧過ぎる≪回避≫を見せたからだ。
大いに剣技を空
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