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ソードアート・オンライン ーBind Heartー
クラヤミノリズム
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「さあ、アスナ様、ギルド本部まで戻りましょう」

「嫌よ、今日は活動日じゃないわよ! ……だいたい、アンタなんで朝から家の前に張り込んでるのよ!?」

俺の背後から、こちらも相当キレ気味と言った様子でアスナが言い返す。

「ふふ、どうせこんなこともあろうかと思いまして、私一ヶ月前からずっとセルムブルグで早朝より監視の任務についておりました」

「うわっ。ドン引きです……」

小さく要らんことを呟いたトーヤに、得意気だったクラディールの鋭い視線が飛ぶ。慌てて目を逸らすと、長髪の護衛役はわかりやすいくらいの舌打ちをした。

「そ……それ、団長の指示じゃないわよね……?」

「私の任務はアスナ様の護衛です! それには当然ご自宅の監視も……」

「ふ……含まれないわよバカ!!」

その途端クラディールはいっそうの怒りと苛立ちの表情を浮かべ、つかつかと歩み寄ると乱暴に俺とトーヤを押しのけてアスナの腕を掴んだ。

「聞き分けのないことをおっしゃらないでください……。さあ、本部に戻りますよ」

抑えがたい何かをはらんだ声の調子に、アスナは一瞬ひるんだようだった。傍の俺にすがるような視線を向けてくる。アスナの潤みかけたその瞳を見た途端、右手が勝手にクラディールの右手首を掴んでいた。街区圏内で犯罪防止(アンチクリミナル)コードが発動してしまうギリギリの力を込める。

「悪いな。お前さんトコの副団長は、今日は俺の貸切りなんだ」

我ながら呆れる台詞だが、もう後には引けない。唯一、良くやったといえば、トーヤを巻き込むような言い方をしなかったことだろうか。

「貴様ァ……!」

今まで敢えて俺の存在を無視していたクラディールは、顔を歪めて手を振りほどくと、軋むような声で唸った。

「アスナの安全は俺が責任を持つよ。別に今日ボス戦をやろうって訳じゃない。本部にはあんた一人で行ってくれ」

「ふ……ふざけるな!! 貴様のような雑魚プレイヤーにアスナ様の護衛が務まるかぁ!! わ……私は栄光ある血盟騎士団の……」

「キリトさんの方が、万倍強いと思います」

満足気なトーヤの一言は余計だったが、俺は内心で同感と頷いていた。

「ガキ共がァ……そ、そこまででかい口を叩くからには、それを証明する覚悟があるんだろうな……」

顔面蒼白になったクラディールは、震える右手でウインドウを呼び出すと素早く操作した。
即座に、俺の視界に半透明のシステムメッセージが出現する。内容は見る前から想像がついた。

【クラディール から1vs1デュエルを申し込まれました。受諾しますか?】

無表情に発光する文字の下に、Yes/Noのボタンといくつかのオプション。俺はちらり、と隣のアスナに視線を向けた。

「……いい
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