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ソードアート・オンライン ーBind Heartー
クラヤミノリズム
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すると、深い青の腰布の内側からアイテムをひとつ取り出した。次の瞬間、カシャッ、と小気味良い音と共にその結晶アイテムから眩しいフラッシュがたかれる。
戦闘専門の俺でもそれはすぐにわかる。取り出されたのは、上限数までの画像を記録する≪記録結晶≫に間違いない。そして、それはたった今使用された。
「お、おい、ちょっと待てトーヤ! なに撮ってんだ!!」
「い、いや……。せっかくだから思い出に、と思って」
「いらん! 今すぐ消去しろ!!」
一体なにを躊躇っているのか。トーヤは素直に頷こうとはしなかった。
「えぇー。でも、ちょっともったいないようなーー」
「ダメ。消しなさい、い・ま・す・ぐ
!!」
「は、はいっ!」
威圧たっぷりのアスナの叱責に、それまで俺の黒歴史最新号を削除するのを渋っていたトーヤは、表情を固めて手早く≪記録結晶≫を右手の人差し指でクリックし削除操作を行いはじめる。
それが終わるまでジッと睨みを効かせるトップギルドの副団長様は、まるで怒りが爆発する寸前の姉か母親のように見えた。
「け、消しましたから。ほら!」
やがて、焦りながら可視モードに切り替えた結晶の記録を俺たちに見せる。
確かに、メモリはからっぽで先ほどの光景が残されている様子はなかった。
「……ったく、変なところで子供っぽいよな。お前は」
呆れてそう言いながら立ち上がり、「スイマセン」と下げられたトーヤの頭に軽く手刀を落とした。
アスナの方も今回はお咎め無しといったところか、ため息をついて交差させていた腕を組んだ。
≪記録結晶≫を仕舞って苦笑いを作るトーヤにやれやれと首をすくめたその時、再び転移門が青く発光した。アスナは、はっとした表情で後ろを振り向くと、慌てた様子で立ち上がり俺たちの背後に回り込んだ。
「なん……?」 「へ……?」
訳が判らないままなされるがままの俺たち。ゲートは見る間に輝きを増し、中央から新たな人影を出現させた。今度の転送者はきちんと地面に足を着けている。
光が消えて現れたのは、見たことのある顔だった。仰々しいマントを垂らしたギルド血盟騎士団のユニフォームを着込み、やや装飾過多気味の金属鎧と両手用剣を装備したその男は、昨日アスナに付き従っていた長髪の護衛だった。名前は確か、クラディール。
ゲートから出たクラディールは、俺とトーヤ、それから背後のアスナに目を留めると眉間のシワをいっそう深くした。
「ア……アスナ様、勝手なことをされては困ります……」
ヒステリックな調子を帯びた甲高い声を聞いて、トーヤが若干顔を歪めたのがわかった。無理もない。俺だって、こりゃ厄介なことになりそうだと思ったところだ。
落ち窪んだ三白眼をぎらぎらと輝かせ、クラディールは更に言い募った。
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