疾走編
第二十六話 ヴァンフリート星域の遭遇戦
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に後退しない我々を見れば、商品を回収したい帝国艦隊としては後背を襲う可能性のあるピアーズ、マクガードゥル両分艦隊よりも、我々を先に撃破しようとするのではないでしょうか」
「こちらの分艦隊が奴等の後ろに食い付くまで、逃げそうで逃げない、追い付きそうで追い付かない、を演じねばならん、という事か。難しい事じゃな、バルクマン」
「…はい、閣下」
よく考えたなオットー。確かにそれなら敵は追ってくるだろう。
…だけど確かに難しい。算を乱して逃げる寸前、という状態を演じきらないと、敵は食いついて来ないのじゃないか?
”帝国艦隊、増速中!“
「焦るな!陣形で対処する」
「了解しました…陣形に切り替える!陣形再編後、更に後退、微速だ!」
「…よろしい。ウィンチェスター、敵は乗ってくるかな?」
「大丈夫です。味方は二千、敵は我が方の三倍です。更に距離を詰めてくるでしょう。ですが、こちらがあまりにも整然としすぎていると、擬態、と思われるかもしれません」
「なるほど。では命令を変えよう…後退しつつ、陣形に再編」
「はっ。…先程の命令を変更、微速後退せよ!陣形に再編しつつ後退だ!」
“…敵、更に増速!敵艦隊が二つの集団に別れつつあります!”
「オペレータ、敵艦隊二つの集団のうち、後方の集団に注意を払え…提督」
「うむ。全艦、砲撃戦用意」
「はっ。…全艦、砲撃戦用意!」
3月16日20:30 ヴァンフリート星系、ヴァンフリート[、EFSF旗艦リオ・グランデ
オットー・バルクマン
戦闘が始まってからは呆気なかった。提督は狙点を固定して、長距離砲撃でひたすら敵の最先頭のみを攻撃させ、更に僅かずつ艦隊を後退させていった。
帝国艦隊は最先頭が痛めつけられるものだから、中々前に進めない。そして我々は更に後退する。敵は二つに別れたものの、それぞれが団子状になったまま雑然とこちらを追ってくる。隊形も何もあったもんじゃない。そこにピアーズ司令とマクガードゥル司令の分艦隊が、敵の後方から食らい付いた。敵も予想はしていたのだろうが、前面と後方から挟撃されている事が恐怖に拍車をかけたのだろう、敵の後方集団は統一された反撃が出来なかったようだ。
それを見届けたビュコック提督は後退を止め前進、陣の両翼を更に伸ばして敵の先頭集団を半包囲、彼等を押し込んだ。
ビュコック提督はエネルギーが尽きるまで撃て、と味方に発破をかけた。敵は包囲されているとはいえ、まだ我が方より兵力は上なのだ。包囲陣は薄いのだから、どこを突き破られてもおかしくはなかった。だが突破戦力をまとめる者が居ないのだろう、敵艦隊はただ撃破されていくだけだった。
戦闘が突如終了した。敵艦隊が二千隻程までに撃ち減らされたあたりで旗艦が降伏を申し出てきたからだった。敵
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