疾走編
第二十六話 ヴァンフリート星域の遭遇戦
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「はっ。人員武器異状ありません。拘束した者にも負傷者等はおりません」
「よくやった。二十人やる。拘束した者を駆逐艦に移送、監視を付けてバラバラに拘禁しろ。そのまま駆逐艦にて監視チームの指揮を執れ。物的証拠の捜索も並行して行っているだろうな?」
「はっ。現在捜索中であります」
「よし。では指示した通り、かかれ」
「はっ。ケッセル少尉、これより拘束者の移送と拘禁の指揮を執ります」
…まずは一段落か。さて、何が出て来るかな。
3月16日08:00 ヴァンフリート星系、ヴァンフリートW、EFSF旗艦リオ・グランデ
オットー・バルクマン
「バルクマン、どう思うかね?この報告を」
「はっ…約一トンのサイオキシン麻薬を押収、10名拘束、うち一人は拘禁中に服毒自殺…。自殺した者が現場の責任者なりキーマンだったのでしょうか?それにしても一トンとはすごい量です」
「一億ディナール相当か。小売りの時にはいくらになるんじゃろうかの」
「さあ…小官はその手の話に詳しくないもので何とも…それはともかく、買い付けに来る帝国の人間は何とも思わないのでしょうか?我々と帝国は、まがりなりにも戦争をしている最中です。それなのに敵国の人間から麻薬を買うなどと…」
「需要と供給が合致すれば立場など関係ないという事じゃろう。お互い違法行為をしておるのだから、むしろ敵同士というより法を逃れる味方同士ではないかな」
「味方同士…という事は結束は強い、という事ですか?」
「いや、それは無いじゃろう。商売に関しては味方同士でも、表看板は同盟と帝国じゃからな。何かあれば知らぬ存ぜぬ、さっさと居なくなってしまうだろうて。頃合じゃろう、押収したガイドビーコンを作動させろ」
「了解いたしました」
3月16日10:00 ヴァンフリート星系、ヴァンフリートW、EFSF旗艦リオ・グランデ
ヤマト・ウィンチェスター
本隊はアスターテ方向に移動しつつある。イゼルローン前哨宙域を抜けてこちらに向かってくる敵艦隊を騙す為だ。
「僭越ではございますが、本隊と両分艦隊とで前後から敵を挟撃する、という閣下の方針は正しいと思われます。ですが相手は六千隻、我が本隊は二千隻です。敵からも発見される頃ですので、ジリジリと後退してみせた方が、味方の圧力に耐えかねて後退する同盟艦隊…の様に敵の目に映るのではないでしょうか」
「なるほどのう」
「現在位置で迎撃しますと、敵は艦隊を二つに分けて、前哨宙域側から蓋をする役目のピアーズ、マクガードゥル両分艦隊と本隊を各個に撃破しようとする恐れがあります。簡単に下がる訳にもいかないが、戦力差を感じて攻勢は取れない…とジリジリ後退すれば…」
「荷受けの安全を図る為にも我らを追ってくるだろう、という訳か」
「はい。劣勢なのに一挙
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