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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第32話:三つ巴の争奪戦・その4
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ケースを確保するように言った。

「未だ響ちゃん! 今の内にケース持ってっちまいな!」
「え!? あ、はい!」

 颯人の声に響は弦十郎達の傍を離れて、デュランダルのケースを確保しに向かう。敵の幹部2人は奏と透が足止めし、クリスは颯人にケースを持って行かれないようにするので精一杯。こうなれば、響の邪魔をするものは誰も居らず、颯人に加勢してクリスから完全にケースを奪い返す事が出来た。

「えぇい、誰か居ないのか!?」

 このままでは颯人達にデュランダルを確保されるとみて、メデューサが声を荒げた。もうこの際動けるなら誰でもいいと言った心境である。

 果たして、その声に応える者が居た。まだ倒されていないメイジの1人が、ノイズとの戦闘を切り抜けて響の前に躍り出たのだ。

 目の前に現れたメイジの存在に、響は怖気付いた様に後退りする。

「う、あ!?」
「ッ!? やっべ!?」

 メイジの登場に颯人は一つの選択を迫られた。このままクリスと綱引きを続けるべきか否か、である。

 響にメイジの相手は出来ない。今の彼女に、洗脳されただけの人間との戦闘など荷が重すぎる。

 当然自分か奏のどちらかに任せる外ないが、そうするとケースからは手を離さなければならない。ヒュドラの相手をする透を置いてクリスが逃げるとは考え辛いが、可能性は無くはないだろう。どちらにしても、相手側にデュランダルが渡るのはリスクが大きすぎる。

 それだけではない。大分数が減った上に動けるメイジが相手をしてくれているがノイズも居るのだ。この場に居る生身の人間である弦十郎達3人を何時までも放置してはおけない。

 どうするべきか? 颯人が思考の海に沈みそうになった時、弦十郎が響に声を掛けた。

「迷うな響君!!」
「えっ!?」
「今君が何を恐れているかは、何となくだが想像が付く。だが敢えて言わせてもらおう、迷うな! その迷いは君自身だけでなく、君の周りの者をも殺すことになる!」
「私の……周りの人も……」

 弦十郎は響がメイジ相手に戦えない所を見てきた訳ではない筈だが、今見せた一瞬の仕草や性格から彼女がメイジとの戦いに積極的になれないことを看破したのだ。
 人を見る事に関してはそれなりに自信のある颯人も、これには舌を巻いた。流石の洞察力である。政府の裏に位置する組織の司令と言う立場は伊達ではないという事だ。

「響、考え方を変えてみな。助けるって考えるんだ」
「助ける?」
「連中は無理矢理戦わされてるんだろ? だったら、これ以上無理矢理戦わされて罪を重ねる前に、ぶん殴ってでも止めてやるんだよ!」

 助ける為に、殴る。これ以上罪を重ねさせない為に、力尽くでも止める。

 弦十郎と奏、2人の言葉を自身の中で反芻した響は、次
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