疾走編
第二十五話 やっぱり大事件
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「直接お話するのは初めてですな。アレクサンドル・ビュコックです。実はヴァンフリートW-Uで厄介な事が起きております」
”ヴァンフリートW-U…ああ。ビュコック提督の横に二人姿が見えますが、よろしいのですか?“
「起こっている事の性格上、話さざるを得ませんでした。どうもサイオキシン麻薬の生産プラントがあるようなのです。というより、あるのですが」
”宇宙艦隊司令部には報告されたのですか?“
「いや、場所が場所だけに上層部が絡んでいるかもしれない、報告すると賊に情報が漏れる恐れがある、とここに居るウィンチェスター大尉に進言されましてな。現在陸戦隊が向かっておりますが、全く誰にも伝えない訳にもまいりません。そこで連絡させてもらった訳です」
”なるほど。私は信頼されている訳ですな“
「はい。小官は現場叩き上げで艦隊司令官の方々とも知り合いがおりません。悩んだ結果、こうしてお話させて頂いております」
”わかりました。ヴァンフリートW-Uの事を知っている者は限られております。現地の情報をいただければ、お力になれるでしょう“
「いや、ありがとうございます。判明しているものから随時、送らせてもらいます」
”期待しております。では“
「…いや、話してみるものだな。ありがとう、ウィンチェスター大尉」
「いえ、小官は何もしておりません、恐縮です」
「よろしいでしょうか、提督」
「何だね、バルクマン」
「今思いますと、小官がヴァンフリートに向かおうなどと進言しなければ、こうはならなかったのではないかと…」
「いや、貴官の進言に間違いはなかった。ヴァンフリートは確かに戦いづらい、誰も足を運ぼうとは思わん。じゃが警備宙域に含まれとる以上、行かねばならんからな。それより儂の頭の中はヴァンフリートW-Uの事をどうやったら悟られんようにするかで一杯じゃったよ」
「ありがとうございます」
「それに麻薬密売などという不正している輩も発見出来たしな。そこでじゃが、売り手はカタがつく。問題は買い手じゃ。やはり帝国かの、ウィンチェスター」
「同盟軍艦艇を使用しているということは、基地建設資材を運ぶ輸送艦に原材料を紛れ込ませている訳です。ヴァンフリート帰りの輸送艦に物を積んでいると不審ですし、だからといって出来上がった麻薬をW-Uに積み上げる訳にもいかないでしょう。ヴァンフリート近傍で麻薬を売れそうな市場となるのは一番近いのはエル・ファシルです。エル・ファシル警察が公表している犯罪検挙のグラフを見ましたが、サイオキシン麻薬事案はごく少数です。他の有人惑星やハイネセンの物も見ましたが、近年はやはりごく僅かです。ということは同盟領域ではあまりサイオキシン麻薬は出回っていない事になります。ということは買い手は帝国、またはフェザー
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