第五十八話 入学前のその二十四
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「出来たら紹介しないでね」
「いいわね」
「だからいい人だから、それにそんなことがあっても」
過去にです。
「今は凄くいい人だしそれに過去は過去でしょ?」
「それはそうだけれど」
「昔のことだけれどね」
「だったら今の先輩を紹介するから」
妹達に心から言いました。
「あんた達がいいって言ったらね」
「じゃあその時はね」
「私達もそれならって思ったらね」
「その時はお願いするわね」
「その人が都合がつけば」
「それじゃあね、しかしね」
私は妹達に言ってからお話しました。
「長池先輩はあんた達から見たら怖い人なのね」
「凄くね」
「そう思ったから」
「そうなのね、けれど一年一緒にいて」
寮の同じお部屋で、です。
「私先輩にどれだけよくしてもらったかわからないわよ」
「お姉ちゃんはそうでもね」
「他の人には違ったりするでしょ」
「人によって態度変える人っているじゃない」
「そうした人かも知れないし」
「そんな人でもないから」
同じお部屋の二年生の人にもとても優しくて自分から進んでひのきしんをして他の一年生の娘にも何かと教えてくれているのを見てきました。
だからです、私はまた妹達に言いました。
「本当にあんないい人いないわよ」
「そう言われてもね」
「私達はそうは思えないから」
妹達の言葉は変わりませんでした。
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