第五十八話 入学前のその二十三
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「相当残酷な人じゃないの?」
「お姉ちゃんがいつも言ってる先輩って」
「そんなことないから」
私はこのことを断りました。
「何度も言うけれど」
「いい人なのよね」
「それも凄く」
「そう、とても優しくて穏やかで公平で」
それが私が知っている長池先輩です。
「誰にも優しい人よ」
「誰にも優しい人がそんなことする?」
「穏やかって嘘でしょ」
「よりによって神殿で人怒ったり罵ったら駄目でしょ」
「あと待ち伏せして聞こえる様に言うとか」
妹達の言葉は否定ばかりでした。
「私そんなの絶対出来ないから」
「よくそんなこと思いついて実行したわね」
「相当残酷な人じゃないの?」
「どっちもかなり残酷じゃないと出来ないわよ」
「あんた達阿波野君と同じこと言うわね」
本当に全く同じに思いました。
「そんなことはね」
「ないの?」
「そうなの?」
「ないわよ」
私はそれは絶対だと答えました。
「先輩が残酷な人とか」
「いや、そんなこと残酷な人じゃないと出来ないから」
「それもかなりね」
また妹達は私に言ってきました。
「私達そうとしか思えないから」
「お姉ちゃんよくそんな人と一年一緒にいられたわね」
「だからそんな人じゃないから」
本当に必死に否定しました。
「あんないい人いないからあんた達にも紹介したいの」
「いいわよ、そんな怖い人」
「私達までそんな目に遭いたくないから」
妹達の目は冷めたものでした。
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