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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
最終話 私たち、彼の理想を守ります。
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 ラインハルトは帝都オーディンを見下ろす静かな丘に来ていた。そこには一つの墓がある。傍にキルヒアイス、そしてアレーナ、アンネローゼがいた。
 澄み切った青空に小鳥がさえずりかわしている。
 墓碑にはこう書かれていた。

 我が姉
 イルーナ・フォン・ヴァンクラフト 465―488
 
 ラインハルトは生前にさかのぼって、帝国軍三長官の称号及びローエングラム終身名誉幕僚総監の地位をイルーナに与えたが、それでも彼の胸は晴れることはなかった。どんな地位名誉称号も「姉」の呼称には及ばない事に気が付き、あえて墓には彫らなかったのである。

(イルーナ姉上、私にはもう失うものはありません。そして遠からず私も姉上の下に行くでしょう。その時に私は胸を張って姉上と会うことができるでしょうか?)

 墓前に花束をささげたラインハルトは立ち上がり、キルヒアイス、アレーナ、アンネローゼを見た。

「大丈夫です、イルーナ様はラインハルト様の成したことを見ていらっしゃいます。そしてきっと笑って出迎えてくださるでしょう」
「あなたたちが泥だらけになって帰ってきたとき、アンネローゼ、イルーナ、私は怒りもしなかったじゃないの」
「イルーナならそうするわ」

 アンネローゼはラインハルトに微笑むと、そっと墓碑に触れた。

「あなたは弟に本当によくしてくださいました。私にはそれで充分でした。私たちの結婚をあなたはどう思うかしら?」

 アンネローゼとキルヒアイスは翌日結婚式を挙げることになっていた。その前日にそろって4人で墓を訪れたのである。

(私は何も気にしていないわ。ラインハルトの力になれたこと、それこそが私の人生の中で最大の幸福でした)

 不意に声なき声が聞こえた気がしてアンネローゼは顔を上げた。そしてそれが自分だけに聞こえたものではなかったことが他の3人の顔を見て知った。

* * * * *

 ラインハルトに死期が迫っている――。
 それは日増しに色を失っていく顔色からだけでもすぐにわかることだった。だが、彼は依然として健康であった日々と変わらぬように政務を見続け、カロリーネ皇女殿下、アルフレート、アレーナ、キルヒアイスらと共に尽力を尽くし続けたのである。
 そして、ある程度めどがついたところで、ラインハルトは引退を宣言した。引継ぎが終わり、後を託し、彼は宰相府を出て、さらには自らの司令部を閉じたのである。

「ローエングラム公」

 部下幕僚たちがすっかり荷物を運びだし、がらんとした執務室に佇んでいたラインハルトは振り返った。彼はいつものように帝国軍服を着用し、純白のマントを羽織っている。
 ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフが立っていた。何かを言い出しかねているような顔にラインハルトは穏やかに話しかけた
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