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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
最終話 私たち、彼の理想を守ります。
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でだな」

 ラインハルトは冗談めかして言った。

「いいや、キルヒアイス、俺は幸福だ。最後まで姉上、アレーナ姉上、そしてお前と一緒にいることができる。それこそ俺の望んでいたものだ。どのような地位、名誉があろうとも結局は俺にとってそこに至るまでのただの過程にすぎない。途中奪われたものがあったが最後にそれを手に入れることができた。だが――」

 ラインハルトの顔は陰った。

「イルーナ姉上が側にいてくださればと思う。だが、それももう終わりだな」

 キルヒアイスははっとした。ラインハルトの顔は透き通っていた。まるで綺麗なガラス細工の人形のように――。

 この日の夕方、ラインハルトは昏倒して意識を失った。そして数日間意識がない状態が続いた。

 ローエングラム公重態の知らせは四方八方に飛び、転生者をはじめ主要提督たちは駆けつけ、かわるがわる見舞った。これを知ったカロリーネ、アルフレートは衝撃を受けたが、それでも政務があっていくことができず、やむなく見舞いの使者を出した。
 意識を取り戻すことがなかったので、アンネローゼは提督たちに無言で首を振った。別れを告げるべく提督たちが病室に入る中、ロイエンタールだけは入ろうとしなかった。

「ローエングラム公の無残な御姿を見ることは忍びないからな」
「なら、私もそばに残るわ」
「お前は行っていいだろう」
「いいえ、あなたを一人にすると何を考えるかわかったもんじゃないもの。話し相手は必要でしょう?」
「フン・・・・・」

 しばらくしてから提督たちが出てくると、二人は合流して皆一緒にゼー・アドラーに向かった。

* * * * *

 最後の時が迫っていた――。

 意識を取り戻したラインハルトはふと、枕もとを見た。そこには在りし日のイルーナが佇んでいた。それは幼少の頃の姿であり、そしてゴールデンバウム王朝の軍人であり、最後に自分の元を離れなかったローエングラム陣営参謀総長の姿となった。

「イルーナ姉上・・・・」

 ラインハルトがその白い手をベッドの下から伸ばした手で握ろうとした。イルーナの幻影は、その手を握り返しながら、

『ラインハルト、あなたはよく戦ったわ。とても立派だった』

 帝国宰相、帝国軍最高司令官、帝国最高顧問官ラインハルトにというよりも、彼女たちはあのミューゼル家に戻って、少年少女時代に戻っているかのようであった。

「イルーナが来たのね」
 
 アンネローゼがつぶやいた。アレ―ナとキルヒアイスははっとした顔をラインハルトのそばに向けた。

『あなたは私たちとの約束を果たしてくれた。今度は私があなたとの約束を果たす番よ』

 ラインハルトは透き通る微笑みを浮かべてうなずいた。それ以上正視に耐えられなかったイルーナ
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