暁 〜小説投稿サイト〜
ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百三十七話 作戦準備
[1/8]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 会議が始まる前、アレーナはフィオーナと二人きりで自室にいた。アレーナはいつになく真剣そのものの表情をしていた。フィオーナは青い顔をしていたが、何とか気丈にアレーナと向かい合っている。

「シャロンのオーラを抑え込むために、フィオーナ、あなたにローレライの騎士として歌い手になってほしい」
「・・・・・・・・」

 フィオーナは俯いた。アレーナは飄々さを消し去った声で彼女に語り続ける。

「イルーナが死んでしまった今、彼女の意志を継いで歌い手になれる者はあなたしか残っていない。どうあってもあなたには歌ってもらわなくてはならない」
「・・・・・・・・」
「ショックが大きすぎていることは承知しているわ。そしてあなた自身も傷を負っていることも承知している。けれど、私たちはもう後に引き返すことはできなくなった。立ち止まっていることもできなくなった」
「・・・・・・・・」
「私を恨んでくれても構わない。けれど、私は引きずってでもあなたを戦場に連れて行く」
「アレーナさんは」
「ん?」
「もう、こんなことになって・・・・今、何のために戦おうとしているか、わかっていますか・・・・・?」

 フィオーナの声にアレーナは口を閉じた。

「私は・・・これまでずっと教官のために、そしてミュラーとティアナ、アレーナさんたちと共に戦ってきました。けれど、教官は死んでしまった。私にはもう、目的がないんです」
「・・・・・・・」
「戦場に立つ意義もないんです。あるのは何のために戦うんだっていう気持ちだけ・・・・」
「・・・・・・・」
「もう、嫌なんです!!!」

 フィオーナの悲痛な叫びがアレーナを打った。

「どうして放っておいてくれないんですか?どうして私ばかり駆りだすんですか?どうして私だけ・・・・どうして」

 取り乱した彼女をアレーナは氷の表情で見つめる。

「だからあなたに聞きたいんです。こんなことになって、どうしてあなたは前に進もうとすることができるんですか?」
「泣きたいから」

 フィオーナは顔を上げた。そして、表情が凍り付いた。
 アレーナ・フォン・ランディールの眼には涙が溜まっていた。

「すべてを終わらせて、全部を片付けて、思いっきり泣きたいから」
「・・・・・・・」
「そのためには嫌な事、終わらせなくちゃいけないから」
「・・・・・・・」
「フィオーナ、ごめん。不器用だからこんな言い方しかできない」

 かすれた声で、涙を目の中にためながらも、鋼鉄の意志でそれを流すことをしなかった。アレーナはフィオーナから顔をそむけた。そしてそのままの姿勢で声を出し続けた。

「終わらせる、そのためにまた新しい悲しみが出てくるとしても、今を耐え続けることはできない」
「・・・・・・・」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ