第8章:拓かれる可能性
第244話「譲れない想い」
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を込めた拳が、神の体に突き刺さる。
“意志”はそのまま形を為し、槍となって神を貫いた。
「こんな……事……が…………」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」
貫かれた神は、そのまま力なく倒れる。
エアを奪った元凶を倒したからか、帝は力を抜くように息を切らしていた。
「エア……エア……!」
倒れた神の手から、エアを取り戻す。
しかし、帝の呼びかけにエアは応じない。
それどころか、反抗するように光を点滅させていた。
「エア……!応えてくれ……!エア!!」
エアを握りしめ、懇願するように帝は言う。
……だが、その声に応える事はなかった。
「ッ……!?」
それどころか、人型の形態を取り、帝の手から逃げる。
そして、魔力の剣を帝に向けた。
「……エア……」
「殺します」
悲しみに満ちた声かけは、機械的な殺意で返答された。
振るわれる剣に、帝は一瞬反応出来なかった。
「っ……!……?」
目を瞑る帝。しかし、刃は帝には届かなかった。
代わりに、“ギィイン”と、金属がぶつかる音が響いていた。
「『帝!!』」
「っ……!?」
「『しっかりしなさい!』」
直後、優奈から念話で喝を入れられる。
其の言葉に反応するように、帝はエアの追撃を飛び退いて避けた。
「『まだ諦める時じゃないわ』」
「『……けど、もうエアの人格は……』」
「『人としての感情を得たデバイスは、それはもうAIではないわ。……作り物の人格じゃない、魂を持った存在よ』」
ただのデバイスとしてではなく、確かな“人としての愛”があった。
機械も人の心を得る事がある。……優奈は帝にそう伝えた。
「『ならば、まだ完全に消えた訳じゃない。……取り戻せる可能性はあるわ』」
「『……わかった』」
本当なのかどうか、帝は優奈に聞こうとはしなかった。
“かもしれない”だけでも、今行動するのには十分な理由だったからだ。
「……行くぞ。エア」
先程エアの攻撃を弾いた、優奈の飛ばした剣を手に取る。
今の帝は、先程までの怒りや悲しみによる強い“意志”はない。
だが、それとは別にエアを取り戻すための“意志”があった。
「ぉおっ!!」
スピードも、パワーも、優奈や他の神々に比べれば大した事はない。
しかし、それはエアも同じだ。
どちらも、本来の強さしか引き出せていない。
それでも、帝に対してエアの方が上だ。
「ッ……!」
剣戟で押され、帝は体勢を崩しつつ一撃を避ける。
追撃は剣を盾にして防ぎ、後退させられる事で間合いを取った。
「射貫け」
「くっ……!」
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