暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第8章:拓かれる可能性
第244話「譲れない想い」
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割れた。
 その事に“天使”は驚愕する暇もなく一刀両断され、倒れた。

「邪魔だ……!」

「この……!」

 残る“天使”は一人。
 その“天使”が“剥奪の性質”で帝の持つ武器を奪おうとする。

「(奪えない……!?)」

 一度帝から奪い取った神が放った武器。
 だというのに、その武器を帝から奪えない事に“天使”は驚愕した。

「がっ……!?」

「死ね……!!」

 直後、“天使”は帝の持つ剣に貫かれ、切り裂かれた。
 まるで、帝の思い通りになるかのように、“天使”はあっさりと全滅した。

「……こんな、こんな事が……ただ、“意志”のみで、我々を圧倒するのか……!?」

 そこまで来て、ようやく神は理解した。
 “性質”が効かなくなった理由。
 攻撃を避けきれない、または防ぎきれず、さらには逃げる事も出来ない理由。
 そして、物理的ダメージがそのまま神界の存在の体力を削る理由。
 それらは、全て帝の“意志”が許さないと断じたからだった。
 たった一人の“意志”で、神達は圧倒されていた。

「(……眠れる獅子を目覚めさせた……のか……?)」

 神は既に帝からその“意志”を剥奪しようと試みていた。
 だが、本質的に本人のモノである以上、不可能だ。
 つまり、帝を追い詰め過ぎたために、神は逆に追い詰められたのだ。

「……は、はは……!だが、今更俺を倒した所で、お前の大事な相棒は戻ってこない!何をしたって無駄だ!」

「………」

 故に、神はその“意志”を折りに行く。
 単純な強さでは敵わないと理解したために、その強さの根源を崩しに行ったのだ。
 確かに、本来ならばその手はこの上なく有効だっただろう。

()()()()()()()

 ……“本来ならば”だが。

「ぁ……が……!?」

「そんな“現実”、関係ねぇよ……返せっつってんだよ!!このクソ野郎!!」

 怒りや悲しみなどが極限まで行った人間に、そんな言葉など通用しない。
 帝にとって、事実がそこにあっても最早関係なかった。

「エアを……返せっつってんだよ!!」

 なけなしの魔力で、帝はバインドを繰り出す。
 本来であれば容易く破壊されるはずのバインドも、今は限りなく堅くなる。
 神はそこから抜け出せなくなり、磔の状態になった。

「返せ……!返せ……!!返せ!!」

 サンドバッグのように、帝は神を殴る。
 物理的ダメージがそのまま通る今、神は血反吐を吐く程ボロボロになっていた。

「返せぇええええええええ!!」

   ―――“θ?ληση Longinus(セリスィ・ロンギヌス)

 一際“意志”
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