第20節「血飛沫の小夜曲(後編)」
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始めたのだ。
「完全聖遺物ネフィリムは、いわば自律稼働する増殖炉ッ! 他のエネルギー体を暴食し、取り込むことで更なる出力を可能とするぅぅぅ──さあ、始まるぞッ!」
そこへ、憤怒の雄叫びと共に大地を踏み鳴らし、灰色の流星が突貫する。
両脚のジャッキを最大まで引き延ばして地面を蹴った翔は、その勢いのまま更なる成長を始めたネフィリムへと飛び蹴りを放つ。
ふらつくネフィリムを足場に跳躍すると、アームドギア・生太刀を両手に握り、勢いのままに振り下ろした。
「よくも響をおおおおおおッ! よくも彼女の腕をぉぉぉッ! 許さんぞ貴様らぁぁぁぁぁッ!!」
二振りの刀を何度も何度も叩きつけ、ネフィリムの身体を斬りつける翔。
しかし、その怒りの刃はやがて、ネフィリムの剛腕に受け止められる。
「だったらぁぁぁぁぁッ!!」
だが、刃を止められようと、翔そのものは止められない。
受け止められたアームドギアを手放すと、そのままネフィリムの懐へと潜り込み、渾身の拳を叩きこむ。
これには流石のネフィリムも後退し、その巨体をふらつかせる。
「想定以上だァ……。天羽々斬やイチイバルなんかも全部喰わせて次の段階へと移行する予定でしたが……ウヒヒヒヒヒィッ! しかしこれ一つで足りるとしても、奴らの戦力を削ぎ落すという観点から見れば、やはり……」
それでも……ウェル博士の顔からは気色の悪い笑みが消えない。
彼は翔を見下ろしながら、まるで煽るように言った。
「もう一人の英雄よ、その無力を呪うがいいッ! かつて同族であるネフィルを共喰いすることで生き残り、今の力を手に入れたのがネフィリムだッ! そして君の大事な彼女は、ネフィリムと同じ生きた聖遺物ッ! さぞ甘美なる味わいだったろうさッ!」
「貴様あああああああああああああッ!!」
「次は君のお友達の番だッ! 君はお友達も、実の姉も、大事な恋人も、何一つ守れず全部ネフィリムに食べられて、最期は君も仲良く腹の中ってわけだ! ヒャーハハハハハハハッ!」
「黙れ……黙れ黙れ、黙れえええええええええええッ!!」
「翔ッ!」
「乗るな翔ッ! 落ち着けッ!」
翼と純の叫びも、既に翔には届かない。
翔は怒りに身を任せ、ネフィリムの顔に飛び回し蹴りを放つ。
ネフィリムの身体のバランスが、大きく崩れた。
「これでえええええぇぇぇぇぇぇッ!!」
その瞬間だった。ネフィリムの頭部が膨張し、その形を大きく変えたのは。
「ッ! しま──ッ!?」
バクンッ!
円筒形で前後に長かった頭部は、人間に近いガマ口へと形を変え……翔の右脚に喰らいつく。
バキッ! ガキゴキゴキ……メキャッ!
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