第20節「血飛沫の小夜曲(後編)」
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を上げた。
ff
「あンのキテレツッ!」
切歌は激情のままに、壁へと拳を叩き付けた。
「どこまで道を外してやがるデスかッ!」
「ネフィリムに、聖遺物の欠片を餌と与えるって……そういう……?」
調もまた、震える声でナスターシャ教授の方を見ている。
「──ッ!」
そしてマリアは、昼間の野球少年達の事を思い出し、思わずエアキャリアを飛び出そうとした。
「何処に行くつもりですか?」
ナスターシャ教授の厳しい声に、マリアの脚が引き留められる。
「あなた達に命じているのは、この場での待機です」
「あいつはッ! 人の命を弄んでいるだけッ! こんなことが私達の為すべき事なのですかッ!?」
両目の端に涙を浮かべながら、マリアは訴える。
その言葉に、ナスターシャ教授は何も答えない。
「アタシたち、正しい事をするんデスよね……?」
「間違ってないとしたら、どうしてこんな気持ちになるの……?」
切歌と調も、モニターから目を逸らしながら呟く。
三人の装者の間に、後ろ暗い迷いが広がり始める。
しかし、ナスターシャ教授の言葉は変わることなく、厳しいものだった。
「その優しさは、今日を限りに棄ててしまいなさい。私達には、微笑みなど必要ないのですから……」
「……ッ」
マリアはゆっくりと操縦室を出ると、自動扉にもたれかかりながら腰を下ろす。
そして罅割れたセレナのペンダントを取り出すと、それを両手で握りながら、消え入りそうな声で呟いた。
「何もかもが崩れていく……。このままじゃ、いつか私も壊れてしまう……。セレナ……どうすればいいの……?」
ff
悲鳴の後、響は左肩を抑えながら膝をつく。
暫く、この静寂の中で聞こえるのは、ネフィリムの口から聞こえる咀嚼音だけであった。
やがてネフィリムは、舌の上で味わい終えた最高の餌食をゴクリと喉を鳴らし飲み込む。
ウェル博士は興奮のあまり身体を反らし、その端正な顔を醜く歪ませながら天へと叫んだ。
「いったあああぁッ! パクついたァ……ッ! シンフォギアをォ──これでえええッ!」
「──ッ! ……ッ!!」
あまりの激痛に声すら出せず、響の顔には額から顎へと汗が滴る。
「立花ッ! ──立花ああああッ!」
「うそ……だろ……!?」
「ウェル博士……てめぇッ、人の心はないのかッ!!」
未だにダチョウノイズの粘液によって身動きの取れない翼とクリスは、ただ目の前で起きた出来事の凄惨さに目を見張る他なく、純はウェル博士を睨みつけることしかできずにいた。
一方、滝のように涎を垂らしていたネフィリムの身体に変化が生じ始める。
頭部や胴体部に存在する黄色い発光体が、突如、赤く輝き
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