第19節「血飛沫の小夜曲(前編)」
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「決着つけようぜ、ファルコンボーイ。俺の一勝と一引き分け、ここでお前を倒して完全勝利だッ!」
「翔ッ!」
怒涛のナイフ連撃を、エルボーカッターでいなしながら、翔は純へと叫んだ。
「手を出すなッ! こいつとの決着は、望み通り俺がつけてやるッ!」
「そう来なくっちゃなァッ! オラアァァッ!」
ナイフでフェイントをかけてからの蹴撃。
しかし翔は、それを敢えて受け、ツェルトの脚に肘打ちをくらわせる。
「ぐッ!?」
「だから……似合わねえっつってんだよッ!!」
怯んだツェルトに、そのまま思いっきり蹴りを返す。
吹き飛んだツェルトは、地面に踵の跡を残しながら交代する。
だが、彼は倒れない。
「転調・コード“イチイバル”ッ!」
上下に分かれた銃身を持つ二丁のツインブラスターハンドガンを手に、ツェルトは跳躍し、翔の頭上からレーザーを乱射する。
翔はそれを躱しながら走ると、ツェルトの降下地点を予測する。
翔が着地の瞬間に仕掛けようとしていると感づいたツェルトは、その予測を逆手に取り、翔の進行方向に銃口を向け、狙いを定める。
しかし次の瞬間、ツェルト目掛けて投擲された盾が、その背中に命中した。
「がぁッ!?」
「手ぇ出すなって言われたけど、クリスちゃん以外がその銃を使ってるのは、見てて癪なんだよッ!」
純、怒りのシールド投げ。
空中から叩き落されたツェルトに、翔からの鉄拳が飛ぶ。
「もらったッ!」
「させるかッ!」
向ってきた拳を、ツェルトは銃で防ぐ。
「銃は拳よりも強し……ってなァァァァァッ!」
ツェルトは翔の拳をそのまま弾き、懐に銃口を突き付ける。
至近距離から放たれた光線に、翔は後方へと吹き飛ばされるが、なんとか地面に足を付ける。
睨み合う両者。そこで、翼の声が轟いた。
「何を企てるッ! F.I.S.ッ!」
「企てる? 人聞きの悪いッ! 我々が望むのは、人類の救済ッ!」
そう言うと、ウェル博士は天上に輝く欠けた月を指さし、声高らかにこう言った。
「月の落下にて損なわれる、無辜の命を可能な限り救い出すことだッ!」
「月のッ!?」
「落下だとッ!?」
「んなバカなッ!?」
装者達五人は驚きに目を見開く。
「月の公転軌道は、各国機関が三ヶ月前から計測中ッ!落下などと結果が出たら、黙って──」
「黙っているに決まっているじゃないですか」
反論しようとする翼の言葉を遮り、ウェル博士は嘲笑う。
「対処方法の見つからない極大厄災など、さらなる混乱を招くだけです。不都合な真実を隠蔽する理由など、幾らでもあるのですよッ!」
「まさか、この事実を知る連中ってのは、自分達だけ助かるような算段を始めてい
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