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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第19節「血飛沫の小夜曲(前編)」
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「古風な真似を……決闘の合図に狼煙とは」

先程、あの約束の後だ。
タイミング的に考えて、切歌と調が出させた合図であろう。

出現ポイントを特定して……藤尭は驚きの声を上げた。

「位置特定……ここは──」
「どうしたッ!?」
「東京番外地、特別指定封鎖区域……」
「カ・ディンギル址地(あとち)だとぉ!?」

ff

「決着を求めるに、おあつらえ向きの舞台というわけか……」

響、翼、クリス、翔、純の五人は、かつてはリディアンへと続く道であった土を踏みながら、カ・ディンギルへと向かう。

旧・私立リディアン音楽院の敷地、通称「カ・ディンギル址地」およびその周辺は、住所を定める番地の一切が剥奪され、現在は日本政府の管理の下、特別指定封鎖区域とされている。

三ヶ月前、響たちとフィーネが激闘を繰り返した決戦の地であり、 複数の聖遺物がぶつかりあった高レベルのエネルギーは、いまだ周辺環境に残留しており、草木の生育が著しく困難な荒野を生み出しているのが現状だ。

現在、エネルギーの残滓を除去する計画が立てられているが、 その目処がたつまで、一般人の立ち入りが禁止されている。
響達がルナアタックの中で失った物の一つと言えるだろう。

ようやくたどり着いたのは、あの日を思い出させる場所。カ・ディンギルの直下。

そこに立っていたのは、決闘を申し込んできた二人の装者……ではなく。

「フン……」

ソロモンの杖を握るウェル博士であった。

「──野郎ッ!」

挨拶代わりと言わんばかりに、ノイズを召喚し、けしかけるウェル博士。

「──Balwisyall Nescell gungnir tron──」

五人は聖詠を唱え、それぞれのギアをその身に鎧った。

「ギュッと握った拳ッ! 1000パーのthunderッ──!」

今回は適合係数の低下もない。
響の拳が貫き、翼の剣が斬り裂き、クリスのガトリングが火を噴く。

翔の光刃がぶった斬り、純の盾がなぎ倒し……前回のリベンジとばかりに、五人はノイズを蹴散らしていった。

「届けぇぇぇッ! はッ! たぁッ! てやッ!」

しかしノイズは一向に減る気配がない。
倒すたびにウェル博士がそれ以上の数を召喚しているのだ。

響はウェル博士を見上げながら、自分達をこの場に呼んだ二人の行方を問いかける。

「調ちゃんと切歌ちゃんはッ!」
「あの子達は謹慎中です。だからこうして私が出張ってきているのですよ。お友達感覚で、計画遂行に支障をきたされては困りますので……」
「そういうわけだ。邪魔はさせない──ッ!」

次の瞬間、ウェル博士の背後から飛び出したツェルトが、翔へと向かって飛びかかった。

「ッ! ジョセフッ!」
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