第19節「血飛沫の小夜曲(前編)」
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二課仮説本部 発令所
ノイズの反応があった廃工場の映像を確認した弦十郎は、現場の不自然さに疑問を抱いていた。
(遺棄されたアジトと、大量に残されたノイズ被災者の痕跡……。これまでと異なる状況は、何を意味している……?)
炭素の塊と共に発見されたのは、重火器や爆弾の破片等、どれも軍隊の特殊部隊が使用する物だった。
外には中学生の物と思われる遺留品が三人分、残されており、これは偶然通りかかった一般人の物との結果が出た。
考えられるのは、米兵との交戦だろうか。
弦十郎が思案している頃、藤尭と友里は永田町深部電算室、通称“記憶の遺跡”からの解析結果を確認していた。
マリアのガングニールのアウフヴァッヘン波形を、念の為に響の物と照合したのだが、やはり誤差のパーツはトリリオンレベルまで確認出来ない……との結果であった。
それは、マリアのガングニールが正真正銘、フィーネの手によって作成されたものである事を意味していた。
騙りでも無ければ、模倣品でもない。寸分違わぬ、文字通り「もう一つのガングニール」なのだ。
無論、それはツェルトの天羽々斬、イチイバルも同様である。
「櫻井理論に基づいて作られた、もう一つのガングニール、及び天羽々斬、イチイバルのシンフォギア……」
友里の言葉に、かつてフィーネの元にいたクリスは顎に手を添える。
「だけど妙だな……。米国政府の連中は、フィーネの研究を狙っていた。F.I.S.なんて機関があって、シンフォギアまで造っているのなら、その必要はないはず……」
「政府の管理から離れ、暴走しているという現状から察するに、F.I.S.は聖遺物に関する技術や情報を独占し、独自判断で動いているとみて間違いないと思う」
翼の推測に、翔は溜息を吐いた。
「かつて、広木防衛大臣が担っていた役割の中には、 二課の存在を可能な限り法令に照らし合わせ、 横槍の入りにくい公然組織と維持すること、そうする事で組織が内包していた暴走の危険性を削ぎ落としていく務めもあったけど……。その観点において言えば、F.I.S.はまさに“米国の特機部ニ”ってわけか……」
「政府直下の機関でありながら、排他的かつ閉鎖的……まるで秘密結社だね」
「事実は小説より奇なりっては言うけど、ここまで洋画染みてると一周回って笑えないレベルだな……」
純共々肩を竦めて苦笑する。
洋画でよくあるお約束の展開だ、などと言ってはいられない。
この一連の事件は映画ではなく確かな現実なのだから。
「F.I.S.は、自国の政府まで敵に回して、何を企んでいるというのだ……」
謎が謎を呼び、事態は混沌を極めていく。
その時、発令所にノイズ出現のアラートが鳴り響いた。
「ノイズの発生パターンを検知ッ!」
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