番外記録(メモリア)・望まぬ力と寂しい笑顔
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た。
そして、セレナは純白のシンフォギアを身に纏い……最後の唄を口ずさんだ。
「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl──」
絶唱を口にしたセレナはゆっくりと、ネフィリムに向かって両腕を広げる。
「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl──」
セレナが唄い終わると、白い光が実験室を包み込み……直後、凄まじい衝撃波が特殊ガラスを粉砕し、オペレーションルームにまで流れ込んだ。
「マリィッ!」
「きゃあああッ!」
モニターの前に座っていた研究者達は吹き飛び、ガラスの破片や瓦礫が飛び散った。
ツェルトは咄嗟にマリアを庇い……それから間もなく、二人は実験室へと駆け下りていった。
燃え盛る炎と、崩れ落ちた実験室。
瓦礫の山の向こうに立つ、セレナの小さな背中。
その右手に握られているのは、基底状態……幼体の状態にまでリセットされたネフィリムの姿がある。
セレナの絶唱特性は、『エネルギーベクトルの操作』。
立花響のそれと非常に似通ったその特性を以て、機械装置を介して暴発したアルビノ・ネフィリムのエネルギーを抑え込んだのだ。
攻撃的な特性を一切備えない、まさに誰かを守る為に特化した力。
彼女の献身的な心を現したかのような絶唱は、この場に居た全職員の命を救ったのだ。
だが……
次の瞬間、セレナが身に纏っていたシンフォギアは光と共に消える。
幼いセレナが受け入れるには、ネフィリムのエネルギーはあまりにも巨大であり、絶唱の負荷と相まって、その身体の内部はズタズタに引き裂かれてしまっていた。
マリアとツェルトは足場の悪さも、迫る炎の熱も、全て振り切ってセレナに駆け寄ろうと瓦礫の山を登る。
「セレナ……ッ! セレナッ!!」
「待ってろセレナッ! 今そっちに……うわッ!?」
その手を伸ばそうとした時、二人の目の前に炎が上がる。
それはまるで、二人を嘲笑うかのように広がり、道を閉ざした。
姉妹を引き裂こうとするかの如く、勢いを増していく炎。
マリアは耐え切れず、頭上の割れた窓へと向けて助けを求めた。
「誰かッ! 私の妹がッ!」
しかし、オペレーションルームから聞こえてきたのは、大人達の怒号であった。
「貴重な実験サンプルが自滅したかッ!」
「実験はタダじゃないんだぞ!」
「無能どもめ……」
研究者達は自分の事しか頭になく、炎の中に佇む小さな英雄の姿など目にも入っていないかのように、そう吐き捨てていた。
「どうしてそんな風に言うのッ! あなた達を護る為に血を流
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