第18節「刻み込まれた痛み」
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! 然るべき決闘を申し込むのデスッ!」
クリスらを指さしながら、そう提案した。
「決闘って……今時、中世のヨーロッパじゃあるまいし」
「まさか……残念なタイプの娘なのか?」
切歌からの提案に、純は眉を顰め、翔はそのあまりのズレ具合に困惑してすらいる。
調でさえ、目をぱちくりさせて驚いていた。
空気が一瞬緩みかけるも、険悪なムードに変わりはない。
響は思わず、クリスと切歌の間に割って入る。
「どうしてッ!? 会えば戦わなくちゃいけないってわけ……でもないでしょッ!?」
「「どっちなんだよッ!」デスッ!」
ほぼ同時に全く同じツッコミを入れてしまい、クリスと切歌は思わず顔を見合わせた。
「決闘の時は、こちらが告げる。だから――」
そう言って調は切歌の手を取ると、翼と翔のすぐ傍をすり抜け、足早に立ち去って行った。
校門を抜けていく二人の背中を見ながら、五人は迷う。
尾行し、後をつけるべきか。それとも、彼女達の誘いに乗り、決闘の合図を待つか……。
その答えは、五人の端末に通信が入ったことで、半ば強制的に決定された。
『五人とも、揃っているか? ノイズの出現パターンを検知した。程なくして反応は焼失したが、念の為に周辺の調査を行う』
「はいッ!」
「ああ」
「はい」
「了解……」
「……はい」
五人は端末を仕舞うと、LINEで未来達に先生方への言い訳を頼み、本部へと向かって歩き出した。
ff
ウィザードリィステルスで身を隠したエアキャリアは、都内に存在するランデブーポイントへと向けて飛んでいた。
キャリアを操縦しながら、ナスターシャ教授は檻の中のネフィリムの様子を確認する。
カメラに映っているのは三日前よりも成長し、人間の成人男性よりも二回りほど大きくなったネフィリム。
そして、ソロモンの杖を握ったまま、檻の前の椅子に脚を組んで座っているウェル博士だ。
(遂に本国からの追手にも捕捉されてしまった。だけど、依然ネフィリムの成長は途中段階。“フロンティア”の起動には遠く至らない……)
異常なし、と見たナスターシャ教授は、カメラを別の部屋に座り、項垂れているマリアへと切り替える。
(セレナの遺志を継ぐ為に、あなたは全てを受け容れた筈ですよ。マリア、もう迷っている暇などないのです)
罅の入ったペンダントを見つめるマリア。
項垂れる彼女の心は、未だに揺れ続けていた。
指定のランデブーポイントに着陸するキャリア。
降りてこちらへと向かってくるマリアの姿を見て、切歌と調は岩陰を飛び出す。
「マリアッ!」
「大丈夫デスかッ!?」
「ええ……」
本当はまだ立ち直れてなどいないのだが、二人を心配させまい
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