第百三十三話 高度を下げてその八
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崑崙は蓬莱から見て北西の方角から海面すれすれの高さまで下りている蓬莱に対して海面から二百メートル程の高さで向かっていた、綾乃は軍の上空で大蛇の背に乗って日本軍の采配を担おうとしていた。
その綾乃に大蛇が八つの頭で言ってきた。
「さて、いよいよやな」
「中国との決戦やな」
「相手は六百四十万の大軍や」
「その大軍がこっちに布陣してるで」
「大砲は殆ど全部こっちに向けてる」
既にその用意をしているというのだ。
「術を使えるモンも同じや」
「銃もあるわ」
「こっちと同じレベルの銃や」
大蛇はその目で彼等の持つ銃を見ていた、そのうえでの言葉だ。その十六の目に中華風清代の武具に身を包んだ兵達が銃を持っているのが見えている。
「大砲もや」
「こっちと同じ位や」
「しかしどっちもめっちゃ多い」
「銃も大砲もこっちの二十倍はある」
そこまで多いというのだ。
「連中の火器は多いで」
「火器大めの編成や」
「その辺りアメリカ軍もみたいやが」
「その火力も脅威やで」
「そやね、ここは」
どうしようかとだ、綾乃は話した。
「芥川君の策通りにね」
「やっていくんやな」
「それで勝つか」
「そうするんやな」
「それでうちはな」
綾乃は今度は自分の話をした。
「軍を率いて」
「敵軍に攻撃を仕掛ける」
「わしと術で」
「そうするんやな」
「そや、そうするで」
こう大蛇に話した。
「これから」
「よし、ほなな」
「今からはじめるか」
「敵は来るで」
「その数で」
「自分から攻めるで」
こう言ってだ、そしてだった。
綾乃は上空で身構えそのうえで敵が間合いまで来るのを待った、それは日本軍の将兵達も星の者達も同じであった。
だがその星の者達の数は少ない、綾乃はそれを見ても言うのだった。
「さて、星の子達もおるし」
「今は少ないけれどな」
「それでもやな」
「星のモンも率いて戦うな」
「そうするんやな」
「二十人以上おるさかい」
今の軍勢にというのだ。
「その子達と戦うで」
「そうするか」
「軍師さんの言う通り」
「そうするか」
「芥川君の言うことは確かやから」
彼の言葉に絶対の信頼がるからこその言葉だった。
「そうするで」
「よし、ほなな」
「わしも信頼してくれてるな」
「そやな」
「勿論やで、今回もな」
この度の戦もとだ、綾乃は大蛇にもその信頼を見せて応えた。
「よろしゅうな」
「任せておくんや」
「今回もやったるで」
「思いきり暴れたるわ」
「この八つの頭でな」
「そうしたるわ」
「是非な、ただ迂闊には攻めんから」
この辺り慎重な性格が出ていた、綾乃は中里や芥川と比べて戦においては積極的に攻める方ではないのだ。
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