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戦国異伝供書
第八十七話 元服と初陣その二

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「それから全体を見て考えよ」
「わかり申した」
「それではです」
「その様にしていきます」
「我等も」
「それを頼む、そして義母上のことであるが」
 今度は杉大方のことを話すのだった。
「礼を言う」
「いえ、それはです」
「松壽丸様からのつとのお願いでしたし」
「我等もです」
「当然のことをしたまでで」
「礼には」
「いや、その心はわかった」
 だからだというのだ。
「それ故の言葉じゃ、褒美も取らす」
「有り難きお言葉」
「それではです」
「そのお心確かに受けます」
「褒美もな、褒美は遠慮するでない」
 それはというのだ。
「わしがやるというからな」
「だからですか」
「それで、ですか」
「褒美を受取れと」
「そう言われますか」
「左様、しかし当家は主従はな」
 松壽丸はまたそれの話をした。
「しかとな」
「まとまりですか」
「一つでなければなりませんか」
「どうしても」
「そのことは」
「そうじゃ、この様なことはな」 
 自分が城を追い出される様なことはというのだ、松壽丸自身だけでなく毛利家の者達全てがである。
「あってはならぬ、だからな」
「それで、ですか」
「先の様なことはですか」
「もう二度と起こさせぬ」
「そうお考えですか」
「うむ、何があろうともな」
 それでもというのだ。
「それはならぬ」
「では、ですか」
「二度とですか」
「あの様なことはさせぬ」
「その為に」
「主従の絆を強くし」
 そしてと言うのだった。
「専横を極める様な者もな」
「許さぬ」
「今後は」
「その様にしますか」
「そうしたいがその為には毛利家の力自体が強くならねばならぬな」
 主家こそがというのだ。
「力の弱い者に従う者はいないな」
「はい、それが戦国の世です」
「やはりまず力です」
「力があればこそ人は従いまする」
「これは戦国だけでのことではない」
 ここで松壽丸は家臣の一人の言葉を受けて告げた。
「常にじゃ」
「常にですか」
「人の世は」
「戦国の世に限らず」
「そうじゃ、法で世を治めるが」 
 しかしというのだ。
「そのことはな」
「まずはですか」
「力ですか」
「力がありですか」
「そこから治まりますか」
「法もそれを護らせる力があってこそな」 
 それ故にというのだ。
「働く、だから毛利家自体もな」
「強くなることですか」
「家をまとめるには」
「そうあるべきですか」
「だから父上と兄上にお話しよう」
 主そして次の主である二人にというのだ。
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