第三幕その六
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ああはなるまいと思って」
「その人と同じことはしない」
「そうあるべきですね」
「そう考えていますので」
「いいことと思います」
先生は武田さんににこりと笑って答えました、そうして動物の皆と一緒に部活を見ていますと部員の中に。
一八五位の引き締まった長身に金髪碧眼の鼻の高い少年がいました、乗馬の腕はかなりのもので馬にもです。
よく慣れています、先生はその彼を見て皆に言いました。
「彼が噂のね」
「東ドイツから来た子だね」
「美男子だね」
「背も高いしね」
「きりっとした感じで」
「乗馬している姿も様になってるわね」
「そうだね、日本の子達よりも」
先生は他の部員の子達も見てお話しました。
「乗馬に慣れているね」
「年季があるんだね」
「子供の頃から乗っていたね」
「やっぱり乗馬は欧州の方が上なのね」
「島国で山に囲まれた日本よりも」
「平地が多いから」
「ドイツも平地が多いからね」
だからだというのです。
「北の方は特にね」
「そうだよね」
「ドイツの北の方はそうだね」
「南はアルプスがあるけれど」
「ベルリンとかハンブルグとか」
「その辺りは平地だね」
「日本では平地は少ないけれど」
やっぱり山が多いです、先生は日本に来てから日本は何と山の多い国なのかと思っているのです。イギリスと比べてもずっと多いので。
「欧州は違うからね」
「その分だよね」
「乗馬も盛んで」
「ドイツもそうで」
「上手な人もいるね」
「そうだよ、それでね」
だからだというのです。
「彼もね」
「子供の頃から乗馬をしていたんだね」
「だからあそこまで上手なんだね」
「東ドイツで」
「そうしていたんだね」
「うん、ただ彼の年齢だとね」
先生は彼が高校生つまり十代であることからもお話しました。
「もうドイツは統一されているよ」
「統一されて四半世紀以上経つし」
「それならだね」
「あの子が生まれた時にはもう統一されていて」
「東ドイツはなかったね」
「あの国はもう」
「そうなっているよ、東ドイツはなくなっていて」
そうしてというのです。
「彼も知らない筈だよ」
「東ドイツがどんな国だったか」
「そのことはだね」
「肌では知らないんだね」
「その筈だよ、では彼ともね」
その彼を見つつ言うのでした。
「お話をしてみようか」
「そうするんだね」
「丁度馬から降りたし」
「今からお話しよう」
「そうしましょう」
動物の皆も先生の提案に頷きました、そうして皆でドイツ人の少年のところに行きました。そうしてです。
先生は帽子を取ってそのうえで彼に挨拶をしました、すると彼も挨拶をしてそのうえで先生に言いました。
「はじめまして、ハインリヒ=ホフマン
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ