第17節「奴らがUFZ」
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
い。小さな涙を見捨てない。
背中を預けて戦う仲間と共に、かけがえのないその笑顔を護りぬく。
マルチバースを流れ星のように駆け抜けていく、そのヒーロー達の在り方こそ、彼らが目指す『漢』の姿。
最初は呆れ気味だった生徒らも、手拍子と共に彼らの歌に聞き入っていた。
『くじけない 最後の勝利掴むときまで――!』
歌い終え、ステージ中央に集まる四人。
拍手喝采を受ける彼らの表情は、とても晴れ晴れとしたものであった。
「す、すごいデース……」
「かっこいい……」
「デスが、アタシ達も負けてはいられないのデースッ!」
客席に手を振る流星を見つめる調の手を引き、切歌はステージに登る。
「確かに、中々のパフォーマンスだったデス。でも、アタシ達に勝とうなんざ、二万光年早い事を教えてやるのデースッ!」
「切ちゃん、光年は時間じゃなくて距離だよ」
「ほえ?」
舞台袖に引っ込んでいくUFZを指さしながら宣言するも、イマイチ締まらない啖呵となってしまった切歌が首を傾げる。
微笑ましいやり取りではあったが、マイクを握った瞬間、二人のまとう雰囲気も一転した。
「それでは続けて歌っていただきましょうッ! ……あ、えっと……」
「月読調と」
「暁切歌デェスッ!」
「オーケー! 二人が歌う『ORBITAL BEAT』、勿論ツヴァイウィングのナンバーだッ!」
イントロが流れ、二人は首を振りながらリズムを取り始める。
「ッ! この唄……」
「翼さんと奏さんの!?」
「なんのつもりのあてこすりッ! 挑発のつもりかッ!?」
響、未来が驚き、この曲を歌った本人である翼は表情を険しくする。
しかし……。
「幾千億の祈りも」
「やわらかな光でさえも」
「全て飲み込む暗闇のような闇の魔性――」
翼のパートを切歌が、奏のパートを調が唄う形で、曲が進んでいく。
「いや……これは……彼女達の、本気の歌……」
「姉さん達には及ばないが、こんなに綺麗な歌声が……挑発でたまるかよ……」
歌詞、音程、発声に加え、振り付けまで完コピしたそのパフォーマンスに、響達やクリスはおろか、シスコンの翔でさえ感嘆の声が隠せない。
曲は既に二番に突入しており、最初は挑発かと言っていた翼も、二人がこの曲を選んだ意味に気付き始める。
防衛組織とテロリスト。立場の違いから敵対してきたものの、切歌と調もまた、心の底から歌を愛する少女なのだ。
「「この手この手 重なる」」
「刹那に」
「「砕かれたParanoia 熱く熱く奏でる」」
「記憶でリフレインしている」
「「命の向こうで――」」
二番まで歌いきったところで曲が終わり、二人はそれぞれ反対側の手を上げながら背中を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ