第17節「奴らがUFZ」
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う事。そんなのは、絶対にダメッ!』
『俺も反対だ。二課にやられてバグが生じてるとは言え、アウフヴァッヘン波形に触れた分だけフィーネの意識は強くなる。それは俺だって嫌だからな……』
『アタシ達がやるデスッ! マリアを守るのが、アタシ達の戦いデスッ!』
(私は……いつまでツェルトを、あの子達を騙し続けなくちゃいけないの……)
胸が痛い。家族同然、兄妹同然に思っている三人に嘘を吐き続けなければならない現状が、この上なく苦しい。
でも、そんな弱音を吐くことは許されない。
何故なら、彼女は組織の象徴なのだから。
「後悔しているのですか?」
顔を上げると、ナスターシャ教授が厳しい目でこちらを見ていた。
「大丈夫よマム。私は、私に与えられた使命を全うして見せる」
首を横に振り、その言葉を否定する。
しかし、ナスターシャ教授の表情は変わらなかった。
その時、エアキャリア内全域に警報が鳴り響く。
驚いて立ち上がるマリア。ナスターシャ教授が開いた机上モニターに映し出されたのは、完全武装で工場を包囲する特殊部隊だった。
「今度は本国からの追手……」
「もうここが嗅ぎ付けられたのッ!?」
「異端技術を手にしたといっても、私達は素人の集団。訓練されたプロを相手に立ち回れるなどど思い上がるのは、虫がよすぎます」
ナスターシャ教授の言うことは尤もだ。
学者が二人と、装者ではあるが軍人ではない青年と少女達が四人では、米軍の特殊部隊を相手にいつまでも逃げられるものではない。
いずれこうなるのは目に見えていたのだ。
「どうするの?」
「踏み込まれる前に、攻めの枕を抑えにかかりましょう。マリア、排撃をお願いします」
その一言は、マリアにとってはあまりにも酷なものであった。
「排撃って……。相手はただの人間、ガングニールの一撃をくらえば――」
「そうしなさいと言っているのです」
「ッ!?」
「ライブ会場占拠の際もそうでした。マリア、その手を血に染めることを恐れているのですか?」
「マム……私は……」
有無を言わせない、厳しい視線。
言葉なくとも、それはマリアを鋭く射抜いている。
数瞬の沈黙の後、ナスターシャ教授は再び口を開いた。
「覚悟を決めなさい、マリア」
次の瞬間、爆音と共に工場の壁が爆破され、炎がヘリキャリアの周囲を包み込んだ。
「始まりましたね……。さあ、マリアッ!」
「くッ……」
マリアは、重大な決断を迫られていた。
この手を血に染め家族を守るか、血に汚れるのを恐れて何もかも失うか……。
苦渋の決断。迫る米兵。
その時、会議室の自動扉が開いた。
「そんなにマリィをフィーネにしたいかよ」
「ツェルトッ!?」
「
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