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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第16節「あたしの帰る場所」
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標発見、とばかりに近づいて行こうとする調を、切歌は慌てて木の幹の陰に引っ張り込む。

「作戦も心の準備も出来てないのに、カモもネギもないデスよッ!」

切歌は一度深呼吸すると、調の手を引きながら、柱の陰へと移動する。

覗いた先では、翼が隣の校舎へと続く階段を上がっていく所だった。

柱の陰から覗き込んだその時、翼がこちらを振り返る。

慌てて顔を隠すと、翼はこてんと首を傾げ、顎に手を当てる。
どうやら、二人の気配を察知しているらしい。

流石は二課で一番の手練。マリアが密かに震え上がる程だ。SAKIMORIの名は伊達ではない。

「……よく考えたら、こっそりギアのペンダントだけ奪うなんて、どだい無理な話デスッ!」
「だったらいっそ、力づくで──」
「それはダメデスよッ! 目立つし何より、マリアとやり合うような相手デスよ!?」
「むーっ……」

切歌と調が物陰でわちゃわちゃしている間に、翼は再び階段を上がり、廊下を進んでいく。

「妙な気配を感じたが……」

廊下を少し進んだ先で振り返った、その時。

「はぁ、はぁ……うわッ!」

すぐ隣の部屋から飛び出してきた生徒が、翼にぶつかった。

「痛ってぇ〜……」

翼にぶつかり、尻もちをついたのはなんと、クリスだった。

「またしても雪音か……何をそんなに慌てて」
「追われてるんだッ!さっきから連中の包囲網が少しずつ狭められて──」
「雪音も気付いていたか? 先刻より、こちらを監視しているような支線を、私も感じていたところだ」

「気付かれていたデスか……!」

階段のすぐ下の柱に隠れている二人の頬を、冷や汗が伝う。

「やばいッ! やつらが来たッ!」
「む……ッ!」

焦る二人。そこへ……三人の女子生徒と、一人の男子生徒が走って来た。

「見つけたッ! 雪音さんッ!」
「クリスちゃんッ! やっと追いついた……」

クリスは後ずさり、翼は目をぱちくりとさせる。

走って来た女子生徒達は、クリスを囲むと手を合わせた。

「お願いッ! 登壇まで時間が無いのッ!」
「一体どうしたんだ?」

事情が分からず困惑する翼に、眼鏡の角度を直しながら、純が口を開いた。

「実は、勝ち抜きステージを予定していた子が急に出られなくなっちゃったらしくて……。クリスちゃんに代わりを頼みたいって言ったのに、クリスちゃん、照れ臭くて逃げ出しちゃったんです」
「なるほど……穏やかじゃない事を口にしていたが、そういう事だったか……」

純からの説明に、翼はポンと手を叩く。

「だからって、なんであたしがッ! あたしは歌なんて──」
「だって雪音さん、すごく楽しそうに唄ってたからッ!」
「う…………」

事実を言
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