第16節「あたしの帰る場所」
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劇場内に流れるBGM、スポットライトに照らされたステージへと登壇した三人は、何ともまあ派手なコスプレに身を包んでいた。
「さて、次なるは一年生トリオの挑戦者達! 優勝すれば、生徒会権限の範疇で一つだけ望みを叶えられるのですが、彼女達は果たして何を望むのか!」
司会役の3年生に紹介され、真ん中に立つツインテールの少女は宣言した。
「もちろん、アニソン同好会の設立ですッ! あたしの野望も伝説も、全てはそこから始まりますッ!」
口元以外を覆う赤と白のヒロイックなヘルメットに、膝まで届くクールなコート。
脚には真っ赤なブーツを履き、白いスカーフには輝くBのバッジが光る。
白いベルトには、レーザー銃と手錠のホルダーが揺れ、その姿はまるで刑事……いや、スペース刑事といった所だろうか。
そんな40年ほど前のテレビアニメ、『電光刑事バン』の主人公、「バン」のコスプレに身を包んでいるのは、アニメ大好き板場弓美。
度々申請を出していたものの、活動目的が明確ではないとして設立を蹴られ続けてきたアニソン同好会の設立の為、親友二人を巻き込みここに立っている。
「ナイスですわ。これっぽっちもブレていませんもの」
「あああもう、なんかもうどうにでもなれ……!」
観客達に手を振る弓美の一歩後ろで、少し際どいコスプレでありながらも臆面なく着こなし、微笑んでいるのが詩織。
そして、自分でもどうかと思うコスプレ姿と、そもそもコスプレする事への羞恥心からやけくそ気味になっているのが創世だ。
ちなみに詩織の衣装は放送当時、中学生男子の性癖を拗らせた謎の美女「ノワール」。
宇宙犯罪ギルドに属しながらも、たびたびバンを手助けする謎めいた役回りで、肩出し・スカート短め・ヒール付きのブーツに、長い金髪から生えた黒い猫耳、それから尻尾という属性欲張りセットな彼女の衣装は、詩織の貞淑な雰囲気を見事に一転させている。
一方、創世の衣装はと言うと……カマキリである。
細かく言えば、黒いジャケットを着て赤ズボンを履き、両手に手鎌を持ったカマキリ。要は怪人枠である。
その名も「置き引きカマキリ」。絶えず置き引きを繰り返すことを目的に生み出されているものの、置き引きすらままならない両手の鎌に苦悩し、「怪人とは何か?」と悪役のアイデンティティーを問う傑作エピソードとして一部のマニアに知られる第8話に登場する改造犯罪者である。
ちなみに言うまでもなく、弓美の大好きな怪人だ。
「まだ、これからみたいだな」
「うん!」
「ギリギリだったね」
「さて、お手並み拝見だぜ」
ちょうど始まる直前で、紅介達が確保していた観客席に翔と響が座る。
未来達も既に揃っており、ギリギリ誰も遅れることなく大会は始まった。
「それ
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