春を味わう筍料理・2
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にゃそういうの気にせず残り物を食べてくれる奴もいるしな」
仕上げに『失敗しても大丈夫』と避難路に道筋を付けてやる。人は追い詰められると強迫観念に囚われるが、逃げ道があると途端に安心するもんだ。
「ふむ、ならば……少し食べてみるとするか」
「あいよ。ビールにとびきり合う奴を支度してやる」
どうやら今回の交渉はS勝利のようだ。
《ビールに良く合う!タケノコのスパイシーチーズフライ》※分量:2人前
・筍:1/2本
・片栗粉:適量
・粉チーズ:大さじ2〜3
・チリペッパー:小さじ1/2
・塩:小さじ1/2〜1/3
・胡椒:少々
こいつは俺の持論というか経験則だが、山菜って奴は油と相性がいい。タラの芽や山独活(やまうど)の天ぷらに始まり、ゼンマイや蕨は油炒め、蕗の薹を使うばっけみそも、刻んだ蕗の薹を炒める所から始まるように、揚げたり炒めたりという調理と相性がいい。筍もご他聞に漏れず天ぷらや炒め物は美味い。今回はそんな筍を、ビールに合うピリッとした揚げ物にしてみようと思う。まずは筍。上下に切り分けたら穂先の方は8等分位になるように櫛切りにする。下半分は1cm幅に銀杏切りにして、全体に片栗粉をまぶしておく。
揚げ油を熱している間に、味付け用のチリチーズパウダーを作っておく。ボウルに、粉チーズ、チリペッパー、塩、胡椒を入れてムラが無いように良く混ぜておく。粉チーズの塩気に合わせて、入れる塩の量は調整するように。そうしないと塩辛くてとても食べられた物じゃなくなるぞ?
油が温まったら筍を揚げていく。下茹でしてある物だから、衣がカリッとすれば油から上げても大丈夫だ。バットに移して油を切ったら、冷めない内にチリチーズの入ったボウルに入れて、全体にチリチーズを絡ませる。熱い内に入れることによって、粉チーズが若干蕩けて筍への絡みが良くなるんだ。これで完成。
「お待たせ。『タケノコのスパイシーチーズフライ』だ」
「うむ、ではいただこう」
ネルソンが恐る恐る、フォークを突き刺して口に運ぶ。一口に頬張れば最初に来るのはチーズの塩気にチリペッパーと胡椒の刺激的な辛味。そして噛む毎にコリコリという歯応えが口の中を楽しませる。そしてタケノコの味だろうか、優しいが主張し過ぎない旨味がチーズとチリペッパーをより引き立てる。その刺激を冷たいビールで流し込む。これは手が止まらなくなる奴だ。
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