第5話 舞いの神:後編
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太陽エネルギー充填に気を取られているかぐらに覚られないように迅速に行動に出る。
(ついにこの子の出番、だね。頼むよ♪)
かぐらに勘づかれないように、姫子はこっそりと心の中で呟く。そして、彼女は次なる行動に移す。
姫子が目をやったのは、愛機の腰に差されている刀のような代物であった。それを姫子は彼に抜かせる。
すると、その『刀』の全容が明らかとなるのだった。──否、刀に見えていたのは、実際は火縄銃を模した銃器であったのだ。
それと同時に、コックピット内の姫子の手には、その銃器と同じ形の、エネルギーで形成されたマニピュレーターが握られていた。
その銃を模した操縦管を、姫子は左手で添え、右手で持ち手とトリガー部分を握りモニターに映る敵機へとしっかりと向ける。
するとそこには照準が出現し、イワトノカイヒを捉えると信号音と共に白から赤へと変貌した。──これは今正に敵をロックオンした証であった。
ちなみにその一連の演出の際に英語やら数字やらの表記が当然ながらあったが、小難しい事が分からない姫子はそれをスルーしていたのだった。
ともあれ、これで手筈は整ったのである。後は、仕上げといくまでだろう。
今の瞬間、姫子はこの火縄銃状の火器を見ながら思うのであった。──この現代の銃器から見ればすこぶる扱いが難儀な銃でありながら、織田信長はよくこれを最大限に活用して天下を取る事一因へと結びつけたものだと。
なので、姫子は信長の人柄を全て称賛する訳ではないが、その奮闘を称えてこう宣言するのであった。
「『種子島』。発射!」
それこそが姫子がこの銃器に名付けた名称であった。そして、彼女はおもむろに引き金を引く。
刹那、『種子島』の銃口から極太のレーザーが射出されたのである。色は鮮やかなばかりの青色である。
これこそが弾神ヤサカニノマガタマの切り札にして、この状況を打破する一番の手段だと姫子は踏んだのであった。
この光線は、他の弾神の武器同様に、大邪に関わる機体だけにダメージを与えられる代物なのである。そう、勿論人間であるかぐらには傷一つ付ける事はないのだ。
その姫子の想いを載せて、瞬く間に青き力の奔流はイワトノカイヒの中枢を貫いたのであった。──大邪の息の掛かった機体『のみ』を打ち砕く為に。
その光に包まれながら、かぐらは感じた。──とても優しい光だな、と。
彼女がそう思ったすぐ後に、邪神の遣いたる舞いの神は爆散したのであった。
◇ ◇ ◇
意識を再覚醒していったかぐらは覚束ない思考の元に手繰るように考えていた。
──自分は敵の大技の直撃を受けて、愛機を破壊された。
──でも、痛みはなくて。
──それなら今自分はどうなっている?
そこまで思うに至った所で、かぐらはその目をはっきりと覚ますの
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