第4話 舞いの神:前編
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う? だから、少しだけ教えてあげるね?」
そう言うと、その少女は一呼吸置くと、一気にまくし立てるように口にしていった。
「この子の名前は『イワトノカイヒ』っていうからよろしくね。そして、私は『大邪衆五の首 夕陽かぐら』。冥途の土産に教えといてあげたからね」
「『五の首』?」
その聞き慣れない言葉に姫子は首を傾げるのだった。それは、敵の通り名のようなものであろうか?
しかし、姫子にはその事以上に頭に引っ掛かるものがあったのである。
「ユウヒ……カグラ……? あれ、どっかで聞いたような……?」
だが、今は機械の巨躯同士の戦闘が始まろうとしているのだ。そのような状況で頭を捻っていては命取りであろう。
「でもまあ、考えている場合じゃないよね。『迷いは自分を殺す事になる、ここは戦場だぞ』って昔の偉人が言っていたしね♪」
……それは少々別次元の話なのであった。
ともあれ、再び姫子は意識を戦闘に向けると、どうやら敵の方から仕掛けてくるようである。
「ほらほら、戦闘中に考え事なんて余裕ね。こっちから行くわよ♪」
そう言いながらかぐらは自身の搭乗する巨大な鳳凰を巧みに操る。
その彼女が操る動きは、まるで踊りを踊るような振る舞いであるのだった。約15メートルのその巨体をそのように操るとは、搭乗者たるかぐらの巧みさを伺い知るには十分なものであろう。
このような立ち振る舞いは、古来の日本に伝わる舞いの神である『アメノウズメ』を彷彿とさせるものがあった。そして、姫子はそのような動きを見ながらますます既視感を覚えてしまう。
(名前といい、この動きといい……やっぱりどこかで見た気がするんだよねえ……?)
そう思いつつも、姫子は敵の動きに翻弄されつつあった。
無理もないだろう。姫子は何度も言うように運動音痴なのである。対して敵の身のこなしは芸術の粋にまで達しているのだ。つまり、これは少々分が悪いというものであろう。
そして、そんな姫子に追い打ちを掛けるようにそのまま敵は行動を起こす。
「さあ行くわよ。この子は身のこなしだけが取り柄じゃないんだからね?」
そうかぐらが言いながらイワトノカイヒに行わせた事。それは手に扇のようなものを持たせるというものであった。
それは一見舞踊に使うようなものであり、断じて今のような戦闘の最中には場違いな代物であろう。
だが、かぐらはそのようなものを迷わずに愛機に振るわせたのであった。
端から見ると酔狂なその行為。しかし勿論かぐらは気を違えてなどはいなかったのである。
それを証明する事が起こるのであった。何と、扇いだその扇から光の筋が走ったのであった。
それは光線──はたまた別の言い方をすればビームだのレーザーだのと言うような産物だ。それがかぐらの愛機の持つ扇から放
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