第3話 現れる敵
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いた流れではないからである。
要は、自分の射撃の腕と、人々を護る役職に就いているのは別々の問題のような気がしてならないからなのだ。
それに加えて、姫子は自分が人々を護っている事は断じて鼻に掛けたくはないというのが、今しがた巫女としての称賛を断った一番の理由であるのだった。
そんな複雑な心情を持ってしまった姫子であるが、これにて今日の射撃部の活動は終わりを迎える事となったのである。その事を部長は皆に伝える。
「ともあれ、今日の射撃部の活動はここまでです。皆さん、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
部長の言葉に皆も同じように返し、これで晴れて皆はそれぞれの憩いの我が家へと帰って行くのである。
◇ ◇ ◇
「今日も一日頑張ったなぁ〜♪」
姫子はそのように充実した今日の学園生活を終えて、目一杯背伸びをしてその余韻を噛み締める所であるのだった。
今日は悪気はないものの部員とのやり取りで複雑な気持ちになってしまったものの、それでも姫子がこの射撃部を愛している事に変わりは無かったのであった。
何故なら、運動音痴の自分でも、自分の得意分野で活躍する事が出来るからだ。人は誰しも自分の持ち味を活かしている時が最も充実している時の一つなのだから。
そんな充実した学園生活に感謝の意を抱きながら、姫子もいよいよ自宅へと帰るべく意識を向ける。
彼女の自宅。それは普通の女の子として過ごしたい姫子には少々手に余るような場所であるのだった。
しかし、決して嫌いではない『そこ』へと、今日も何事もなく彼女は帰っていくのである。
そう思われていた矢先であった。
辺りに突然激しい衝撃が走る事となる。
「うわー!!」
「きゃー!!」
そして、当然辺りは混乱する生徒で溢れかえり、騒然とするのであった。
「みんな、落ち着いて行動しなさい」
しかし、幸いにもこの学校の教師達は優秀であるようだった。こういう時にこそ冷静に生徒達を誘導して避難させるのであった。
そして、教師達はこの場を落ち着かせる決定打となる一言を口にする。
「この学校には『蒼月の巫女』である稲田姫子さんがいます。彼女がいる限り皆さんは安心です」
そう言いながらも教師は複雑な気持ちになる。
何故なら、彼等にとっても姫子は大切な生徒の一人であるからだ。そんな彼女をこの場を落ち着かせるのに利用する形を取らざるを得ない事に自分達に憤りを覚えてしまう所なのであった。
だが、当の姫子はそんな教師達の対応を賢明な判断だと思うのであった。最善を尽くすには頼れるものには積極的に頼るのが妥当であるからだ。
そして、姫子は自分がそういう『頼られる』立場にある事を自覚すると、懐から例の勾玉を取り出すのであった。
その勾玉を手にした瞬間、姫子は目映
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