第3話 現れる敵
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す事は忘れていないわ……」
そう最後の言葉を付け加えるのを千影は忘れなかったのであった。彼女は小学校からの付き合いで、姫子がそういう心優しい子である事を重々承知であるからだ。
「千影ちゃん……」
そして、姫子の方も千影のその配慮が嬉しかったのであった。だから姫子は千影の事を愛おしく感じているのである。
最後に姫子は締めくくる。
「でも、それは戦いの時になってからの話だよね。今は腹ごしらえをちゃんとして、戦いに備えないとね」
先人は「腹が減っては……」等と言ったが、それは見事に的を得ているなと姫子は肌で感じながら、千影と憩いの昼食の一時を送るのであった。
◇ ◇ ◇
そして、食物を胃に押し込める儀式を経るばかりに血液を胃に送られて睡魔との戦いになる午後の授業も無事に終えて、時は放課後となるのであった。
千影は既に下校しており、校内に残るのは姫子となっていた。
彼女は今『射撃部』なる部活動に精を出している所である。
そう、そのような珍妙な部活がこの穂村宮高校には存在していたのであった。
無論、射撃のプロフェッショナルかつ運動音痴な姫子には渡りに舟な話であり、迷う事なくその部活動へと入部して今に至るのであった。
そして、そこで姫子はその腕を存分に振るい、射撃部期待のホープとすら謳われる事となっていたのである。
そのような事が背景にある中で、今も姫子は離れた場所の的を狙い、そして引き金を引くのであった。
刹那、彼女が手に持つ部で配布されるエアガンから弾が発射され、気付けば的としていた風船は派手な炸裂音を撒き散らしながらその身を散らしたのである。
今日の射撃の腕もまずまずだと思いながら、一仕事終えた姫子は「ふぅ」と息をつくのであった。
そんな姫子へと話掛けてくる人物がいた。
「さすがは姫子さんだね。今日も射撃の腕は鈍っていないって感じだね」
「ありがとうございます、キャプテン」
そう姫子は射撃部の部長へと労われた事に対するお礼の言葉を返すのであった。そして、部長へと追従するように側にいた部員も声を掛けてくる。
「やっぱり『蒼月の巫女』となると一味も二味も違うって事なんだろうねぇ♪」
しみじみとその部員はうんうんと頷くのであった。
そう、姫子の巫女として怪肢と戦う様のイメージは、この射撃部にも伝わっているのだった。故に、部員や部長はそんな姫子が誇りでもあるのだった。
しかし、やはり姫子はそう言われると複雑な心持ちとなってしまう。
「う〜ん、でも私が『蒼月の巫女』だからってのは関係ない気もするんだよね……」
「あ、ごめん」
姫子にそう返されて、その部員は軽率な事を言ってしまった自分を恥じるのであった。
それは、姫子が巫女として化け物から人々を護るのは、彼女が元来想定して
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