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神機楼戦記オクトメディウム
第2話 戦士達の帰還
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それを言葉で現すのは簡単であろうが、実行するとなれば全く別のものとなるだろう。
 そして、その『厳しさ』の片鱗が、今ここで垣間見えるのであった。
「お二人さん。ですが油断はしない事です。いつまでもこのように容易に解決出来るとは思わないのが賢明でしょう」
 そう『厳しい』切り出し方で、『事』について和希は踏み込んでいくのであった。
「「はい」」
 その和希の物言いには、巫女二人は重々承知する所なのである。
 彼女達とて前もって知っているのである。二人が駆逐した『怪肢』と呼ばれる機械生命体の群れは、単なる先兵に過ぎない存在である事を。
 そして、事の真相に触れる発言を千影はするのであった。
「はい、『大邪(おろち)』との戦いは、これからが本番になるという事ですよね?」
「ええ、分かっていてもらえて幸いです」
 その千影の言葉に和希は安堵しながら返し、そして続けていった。
「知っての通り、『邪神ヤマタノオロチ』の動きは、まだ序の口だという事です」
『邪神ヤマタノオロチ』。それが和希が口にした、真っ当な現実に生きる者であれば、とてもではないが創作物の世界の中でしか聞く事にはならないだろう名称であったのである。
 その『邪神』について、和希は説明を始める。彼の傍らにいる少年にも聞こえるように、であった。
「それは、我らが大神家が1200年前に死闘を繰り広げた邪悪な神である事は以前に話したから皆さんご存知でしょう」
「はい、和希兄さん」
 そう和希を『兄』と呼びながら、彼の側にいたその少年は答えたのである。
「それなら話は早いですね、士郎。では、今の現状はどのようなものか……分かりますね?」
「はい……」
 まずその言葉を放ち、その少年『大神士郎』は呼吸を整え次なる言葉を頭の中で練るのであった。
 ちなみに、この士郎はこうして『少年』と称さなければ下手をすれば女の子と見間違えてしまいそうな可憐な容姿をしていたのである。あまつさえ、16歳でありながら未だに声変わりを迎えていない事も拍車を掛けていた。
 加えて彼の髪の色は儚い純白であったが為にその姿は妖艶そのものであったのだ。
 ちなみに、そのやり取りから分かるように、和希と士郎は血の繋がった兄弟であるのだった。
 では、彼等の親はという話になるのだが、訳あって二人には今両親が側に存在しないという境遇なのであった。
 故に、年上である和希が士郎の父親代わりをしているというのが今の二人を取り巻く環境なのである。
 しかし、今話題にすべき事はそこではないのだ。故に呼吸を整えた士郎は意を決して切り出す。
「……その邪神ヤマタノオロチが1200年の時を経た今、現世に蘇った、そうですよね? 和希兄さん」
 その士郎が口にした答えに、和希は満足気に頷きながら言う。
「その通りで
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