第1話 戦いは始まっている
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に恵まれていたのであった。
それに対して、姫子の身長自体は同年代の少女と比べても一回り小さかったのである。つまり、小柄でありながらそれに反比例するかのように胸は豊満に育ってしまっていたのだ。もしかしたら、成長における栄養を胸に奪われてしまったと取れるかも知れない。
それに加えて、彼女は金髪をポニーテールにあしらうという出で立ちをしていたので、その姿は愛らしい西洋人形のようであった。──身長に不釣り合いに成長した胸を除けば……である。
一方で、相方の千影と呼ばれた少女は正に対極にあった。背は少女にしては大きく、かつ胸の方は些か残念な事になっていたのだった。そう、モデル的な体付きであるのが千影の特徴の一つであった。
だが、先述の通り、彼女は端正な顔つきと髪を持っていたので、胸がどうのこうので彼女の魅力が削がれるなどという事は断じてなかったのだった。
ともあれ、この阿鼻叫喚の惨状の前に二人のアンバランスな少女が現れたという事は不変に事実なのだ。
そして、二人の他の特徴について記さないといけないだろう。
まず、モデル体型の方の少女である。彼女のフルネームは『姫宮千影』といい、その身には白の小袖に緋色の袴が召されており……そう、紛れもなく『巫女』の出で立ちをしていたのであった。
千影のその様相はとても様になっていた。紺色という黒に近い髪を長髪にしている上にやや長身なのだから。最早彼女自身が巫女装束を従えているといっても過言ではなかった。
対して、西洋人形風の少女は『稲田姫子』といい、彼女もまた巫女装束に身を包んでいたのだ。だが、彼女は千影はおろか同年代の少女と比べても身長が低いが為に、加えて金髪である事も重なり自然な巫女というよりもどこかいたずらっぽく仕上がった印象を強くしていた。
加えて、彼女の装束はイレギュラーなものである事も印象を強くしていた。
彼女の袴は千影……もとい一般的な巫女の袴とは違い、対極とも言える『青』の袴であったのだから。
そのような彼女達の姿は、今のこの惨状にはかなり似つかわしくないだろう。
巫女とは本来神事を執り行う為の存在であるのだから。つまり、荒事とは無縁の役職なのである。
だが、今の彼女達は正に、その荒事へと向き合おうとしているのであった。
しかし、相手は8メートルはあろうかという巨大機械蜘蛛──加えて、その群れ……であるのだ。とてもではないが、生身の、それもいたいけな少女の身で一体何が出来るというのだろうか?
その疑問を払拭するかのように、千影は懐から何かを取り出したのであった。
「それじゃあ、まず私から行くわよ」
言うと千影はその何かを天高く掲げた。すると、その物体は持ち主の意思に呼応するかのようにきらりと光を反射して煌めいた。
光を反射するような物となれば限ら
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