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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第21話 姉の方は別に……:後編
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た。
 そこまで聞いた勇美の心は実に晴れやかなものとなっていた。今までつっかえていたモヤモヤが一頻り払いのけられたのだから。
「豊姫さん、ありがとうございました。お陰でスッキリしました」
「どういたしまして。こちらこそ勇美ちゃんを悩ませてしまっていたみたいでごめんね」
「いいえ、謝る事はありませんよ。豊姫さんは自分の役割を全うした訳ですから」
「ありがとう♪」
 二人はそう言ったやり取りをして、互いに笑顔を見せあった。
「ところで勇美ちゃん」
「何ですか?」
 今度は何だろうと思って勇美は聞いた。
「さっきは勇美ちゃんの認識に合わせて『レイセン』って呼んだけど……」
「?」
「あの子はもう『レイセン』じゃないのよね〜」
「どういう事ですか?」
 豊姫の発言の意図が読み取れずに勇美は首を傾げる。
「それは今後のお楽しみよ♪」

◇ ◇ ◇

 一頻り話をした二人は温くなっては勿体無いと、注文したピーチティーを飲み終えた所であった。
「でも、本当に豊姫さんは桃が好きですよね〜」
 勇美は感心と皮肉が入り雑じった心持ちでそう指摘した。
「そりゃあ、こうも私は汚れ役や引き立て役を務めてたら糖分が欲しくなるわよ〜」
「う〜ん。納得出来るような出来ないような理屈ですね」
 勇美は頭がこんがらがるような感触に襲われていた。そして、それでも糖分の摂りすぎは危険だよと指摘しておいた。糖尿病にでもなったら、いくら月人でも洒落にならないだろうと。
「でも、豊姫さんが依姫さんにとって、これまで以上に無くてはならない存在だと分かって良かったです」
 そう言い始める勇美。だが、彼女は何かそれ以外の事を察したようで、それを口にし始めた。
「それでも、豊姫さんは依姫さんにやらせたくない事を埋め合わせるだけで終わらせる人じゃないですよね」
 それが、今回勇美が感じ取った事であった。本当に誰かの一部として終わって満足するような人なら、実際にいざという時誰かの支えになる事など出来ないだろうから。
「ええ、その通りよ♪ よく聞いてくれました」
 勇美にそう言われて、豊姫はいつもの悪戯っ子のような無邪気な笑顔で言った。
 そして、ついに豊姫は自分の密かな目標を語り始めた。
「私の夢は『獣医』よ」
「獣医さんですか」
 確かにそれは豊姫さんらしいと勇美は思った。あれだけ玉兎、地上の兎問わず兎が好きなのだから、動物自体が好きでもおかしくないなと。
「いい夢ですね、素敵ですよ」
 そう勇美は豊姫の夢を褒めながらも、それを叶えるのは難しいと思うのだった。
 それは依姫と豊姫は月を守護し月と地上の関係を取り持つ役割があるからだ。そしてその代わりは少ないだろう。
 実力面では姉妹以外にも守護者をこなせる者は月には多いだろう。問題は人格面
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