第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第21話 姉の方は別に……:後編
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みます」
「うん、いい選択よ」
そう言って勇美は豊姫の提案に乗ったのだった。
そして、二人はピーチティーを店員に注文してしばし待つ事にした。
そんな中豊姫は勇美に話し掛ける。
「勇美ちゃん。最近の幻想郷での暮らしはどう?」
そう豊姫は聞いてきたのだ。
それに対して勇美は迷わず答える。
「はい、とても充実しています」
それは歯切れの良い返答であった。豊姫の表情も自然と綻ぶ。
「それは良かったわ」
そう豊姫が返す最中、注文の品がやって来た。
「こちらが、ピーチティー二つになります」
そう言ってピーチティーをテーブルに置く店員に二人は「ありがとう」と礼を言った。
店員が去った後、二人は早速一口堪能したのだ。
「あ、美味しいですね」
「でしょう〜♪」
勇美に言われて豊姫も嬉しくなったようだ。
確かにお世辞ではない味わいがそこにはあったのだ。桃のまろやかな甘味と紅茶の酸味が絶妙に絡み合い、口の中で楽しませてくれるのだった。
巧みな味わいにより頭に刺激が行き冴えわたった勇美は今まで豊姫に抱いていた疑問をぶつける事にしたのだった。今こそいい機会なのである。
「あの……豊姫さん」
そして、意を決して勇美は口を開いた。
「ん? 何かしら?」
豊姫は聞き返す。なお、普段はピーチティーに夢中になり返事は二の次になる所であったが、この時ばかりは勇美の空気を読んで真剣に答えたのだ。
「あの、あなたの事は色々聞いたり調べたりしました」
「うん、そうなんだ?」
それに対して豊姫はさらりと返す。
『調べた』。そのような言い回しをされては快く思わない者は少なくないだろう。だが豊姫は別段気にした素振りを見せてはいないのである。
その事で勇美は豊姫が心優しい人である事を感じ取り始める。だから、今ここで踏み込んだ事をすべきだと思ったのだった。
「何故、紫さんの作戦を阻止する時に『あんな事』を言ったんですか?」
「ああ、その事ね……」
勇美にそう切り出されて、豊姫は目を細めてどこか物思いに呟いた。
勇美の言う『あんな事』。それは豊姫が一緒に連れたレイセンの前で散々地上やそこに住む者を蔑み、あまつさえ自分の住む月の優位性を持ち上げる発言をした事である。
「それを豊姫さんの本心から言ったとは思えないんです」
「……どうしてそう思うのかしら?」
豊姫は微笑みながら言う。そこからは勇美が何を言おうと受け止めようという姿勢が見てとれるかのようである。
「まず、豊姫さんは地上の兎さん達とも仲良くしていたじゃないですか。本当に地上を嫌っているならそんな事はしないでしょう?」
そして勇美は彼女が面識のない、『浦島太郎』として伝えられ有名になった者の事も挙げた。
「でも、兎さんを帽子の中に入れてお持ち帰
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