第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第20話 姉の方は別に……:前編
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きつった笑みを浮かべた。
確かに咲夜にはいつも気孔を施しているのだ。だから彼女には感謝されている事は美鈴には分かるのだった。
だが、それ以上に咲夜に対してはトラウマを呼び起こしてしまうのだった。特に額にナイフを投げて刺されたり。
「……ごめんなさい。何か聞いちゃいけない事聞いてしまったみたいですね」
「いえ、気にしないで下さい」
謝る勇美に気にしないように言う美鈴。
と、このように触れてはいけない物に触れ掛ける事態となってしまったが、勇美は全身の血の巡りが快調になる感覚に抱かれていたのだ。これなら今夜はぐっすり眠れるだろう。
「はい、これで気孔は終わりですよ」
すべき事は全て終えて、美鈴は感無量といった様子を見せた。
「ありがとうございました。お陰で今夜はいい夢が見られそうです」
「それは何よりですよ」
勇美と美鈴はそう言い合って、互いに笑顔になるのだった。
◇ ◇ ◇
そして勇美は紅魔館で一夜を過ごし、朝を迎えた所という訳であった。
「本当にいい朝迎えられた〜♪」
勇美はとても充実していた。今の感覚は陽が存分に差し込む部屋で過ごしたのと寸分違わぬ感覚であった。
そして勇美は一夜を過ごした部屋から出て廊下を歩き始めた。
無論闇雲に歩き始めた訳ではなかった。昨日聞いた道筋を頼りに、紅魔館の食堂へと目指していたのだった。
その途中で勇美は美鈴と出会った。
「あっ、美鈴さん。お早うございます」
「お早う、勇美さん。昨日はよく眠れましたか?」
朝一番で出会って勇美の心配をしてくれる。その辺りが彼女が心優しい温厚な妖怪である事を示していた。
「はい、美鈴さんのお陰でバッチリでした」
「それは良かったです」
美鈴は肩の荷が降りるような心持ちとなった。
「さすが、『太陽のエネルギー、波紋』って感じですね」
「気孔です」
すかさず美鈴は訂正したのだった。
その後勇美は食堂で依姫と合流して、紅魔館の住人達と仲良く朝食を食べたのだった。
ちなみにそのレパートリーはふっくらとしたパンに卵やベーコンやサラダが付き、飲み物は紅茶というものであった。
◇ ◇ ◇
そして勇美と依姫は永遠亭へと戻って来ていた。
「しばらく部屋で休んでいるといいわ」
依姫は勇美にそう言ってしばし別れる事となった。
それは依姫の勇美への配慮からであった。いくら美鈴の気孔で陽の光を浴びる代わりを施されても人間が初めて吸血鬼の館で過ごしたとあっては、その負担は完全になくす事は出来ないだろうから。
更に極め付きに、勇美は強大な力を持つレミリアと弾幕ごっこをしたのだ。それによる疲弊は計り知れないだろうと。
そんな依姫の配慮を嬉しく思いながら勇美は自分の部屋へとたどり着くのだったが。
「…
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