第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第20話 姉の方は別に……:前編
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そうすれば人間のあなたでも窓の少ない部屋で一夜をすごしてもぐっすり眠れる筈です」
そう美鈴は言ってのけた。だが勇美はまだ合点がいかないようであった。
「実感が沸かないのも無理はないでしょう。『百聞は一見にしかず』ですから、騙されたと思って受けてみて下さい」
「……」
それを聞いて勇美は懐疑的な気持ちが段々と薄れていったのだ。この人からは純粋な感じが伝わってくるから、誰かを騙すとは思えなかったのだった。
「分かりました。お願いします」
そして、勇美は素直に美鈴の申し出を受けたのだった。
「それでは勇美さん、ベッドで横になって下さい」
そう美鈴は勇美に促す。
そして、勇美は彼女に促されるままに手頃なベッドへと移動したのだ。
そして、勇美は手を自分が着ている和服の帯に掛け……。
「……勇美さん、脱ぐ必要はありませんよ」
「ええっ? そうなんですか?」
さぞかし残念そうに口を尖らせる勇美。
「何で残念がるんですか……」
美鈴は呆れながら突っ込みを入れた。
「だって、こういうのって、裸でやってもらった方が効き目ありそうじゃないですか?」
「それは気のせいですからやめて下さい」
美鈴はきっぱりと言った。
「まあ、取り敢えず気を送りますから、うつ伏せになって下さいね」
「はい♪」
全裸での施しを受けるという野心は潰えたものの、気を送ってもらえる事には変わりがなかったので、勇美は元気に返事をしたのだ。
そして勇美はベッドの上で仰向けに寝そべった。
「それでは行きますよ」
美鈴はそう言うと勇美の背中に手を当て、集中し始めたのだ。
すると、勇美はその美鈴の手から何か優しい感触を感じ始めたのだ。
「あっ、何か心地いいです……」
勇美は思わずうっとりしながら言う。
「それは、私の気が送られてきた証拠ですよ」
美鈴は勇美の心地良さそうに振る舞うのを見て、得意気に説明をした。
「あっ、そうなんですか」
言われて、勇美は納得した。
その心地良さは生半可なものではなかったのだ。何故なら過剰に何かを送りこまれてくる感じではなかったからである。最低限のエネルギーを送られ、後は勇美自身の肉体の脈動を呼び起こされていたからだ。
つまり、それを言葉に表すと。
「何か、『本当の優しさ』って感じがします」
それが勇美の率直な感想であった。
「そ、そうですか」
そのように言われて、美鈴はこそばゆい心持ちになってしまう。
「これには咲夜さんも喜んでいるんじゃないでしょうか?」
夢心地な中で勇美はそう言った。咲夜も人間である以上、この紅魔館で過ごすには美鈴の気孔のお世話になっているだろうと勇美は踏んでの事であった。
「咲夜さんですか……咲夜さんですよね……」
その名前を聞いて美鈴は引
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