第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第19話 悪魔嬢レミリア:後編
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神が現出し、勇美の手元にその身を預けたのである。
「何をする気か知らないけど、これで終わりよ!」
そして、とうとうレミリアは引き金を引き、紅の散弾を放ったのだった。
それとほぼ同時に、勇美の手に水色の細長い物が現れ始めたのだ。
「何あれ?」
レミリアは目を凝らして、それを凝視したがその正体を掴めない。
「【鞭符「ハイドロヴァイパー」】!」
そう宣言して、勇美はその武器をレミリア目掛けて放ったのだ。
「それは……流れる水で出来ているの!?」
レミリアはそれを確認すると驚愕してしまった。
予想外であった。水という液体を凝縮して固形にする芸当など思いも付かなかったのだ。
そしてレミリア目掛けて水流の鞭は飛び掛っていった。
咄嗟にレミリアは手を翳して受け止めようとするが……。
「しまった、流れる水では……!」
手で鞭を掴んだものの、それは自分の弱点である流れる水で出来ていたのだ。レミリアの手に電撃のような衝撃が走り弾かれてしまった。
「くうっ……!」
思わず呻くレミリア。その隙を勇美は見逃さなかった。
「まだまだぁー!」
勢いづいて勇美は鞭の持ち手に力を込めた。すると水の鞭は船上に打ち上げられたうなぎの如く暴れ回り、レミリアの周辺を薙ぎ払い始めたのだ。
「!!」
その奔流に巻き込まれたレミリアは、もはや言葉を出す事も出来なかったのだった。
暴れ狂う水が容赦なくレミリアを幾度となく打ちのめしていった。
このまま攻撃を続けていこうと勇美は思っていた。だが……。
「ネプチューン様、ナーガ様……? はい、分かりました」
そう勇美は呟くと、攻撃を解除した。
するとレミリアはフラフラと上空から地面に降り立つと、膝を付いてしまったのだ。続いて彼女は言葉を紡ぐ。
「見事ね、私の負けよ」
ここにレミリアは敗北宣言をし、勇美の勝利を労ったのだった。先程二神は勇美にもう勝負が着いた事を知らせたのだった。
「私の勝ち……。やったー!」
自分が勝利した事を確信すると、勇美は喜びの余りその場で飛び跳ね始めたのだ。
「喜んでいる所悪いけど、一つ聞かせてくれる?」
自分が負けた事にレミリアは疑問を抱いていない。だが、それとは別に疑問が芽生えていたのだった。
「……何で鞭にしたのよ?」
流れる水をそのまま放水すればいい所を何故鞭の形にしたのか、レミリアは腑に落ちなかったのだ。
それを勇美は聞き、
「決まっているじゃないですか。吸血鬼退治は鞭でするものですよ」
と答えたのだ。
「……」
その答えをレミリアは聞くと、「あなた、ゲームのやり過ぎよ」と呟き、脱力感の元意識を手放していったのだった。
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