第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第18話 悪魔嬢レミリア:前編
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ここは夜の紅魔館の庭。依姫は見事に咲夜との勝負を下し、因縁に決着を着けたのだった。
そんな依姫を勇美は迎え入れた。
「やりましたね、依姫さん」
「ええ、これで思い残した事はなくなったわ」
勇美に労われ、依姫の表情も晴れ渡っていた。
「それじゃあ、これで私達は失礼しましょうか?」
このまま永遠亭に帰り、依姫には本当の勝利の余韻を抱いたまま眠りについてもらおうと勇美なりの気遣いをするのだったが。
だが、依姫から返って来た答えは勇美の予想の範疇外であった。
「何を言っているの? お楽しみはこれからよ」
「えっ?」
思わず勇美は首を傾げてしまった。一体どういう事なのかと。
そしてその言葉にそこはかとなくエンターテイナー性を求めるような匂いを感じ取ってしまったのだ。
それは自分には荷が重すぎた。勇美は自分を出し切る事で精一杯なのだ。そこへ相手やギャラリーを楽しませるまでの余裕はなかったのだ。
閑話休題。とにかく今勇美はとても嫌な予感が走り、それを回避すべく行動に移す事にする。
「そ、それなら私だけでも帰らせてもらいますよ。夜更かしはいけませんからね」
そしてそそくさと後退する。だが、依姫に呼び止められてしまった。
「あら、こんな夜中にここから永遠亭まで一人では危険極まりないわよ」
「うっ……」
依姫に正論を付かれて勇美はたじろいでしまう。
「観念する事ね」
「はい……」
したり顔で依姫に言われて、勇美は縮こまってしまった。
「それで、私に何をして欲しいんですか?」
腹を括って勇美は依姫に聞く。
「それは他でもない事よ。貴方、レミリア・スカーレットと弾幕ごっこしなさい」
そう依姫に直球で大それた事を言われて、勇美は一瞬固まり、そして頭の中が弾けるかのような感覚に襲われるのだった。
「ええ〜〜!? レミリアさんとですか〜?」
それは無茶な話だと勇美は首を横に振って足掻く。
「何か不服かしら?」
「不服も何も、ハードルが高すぎます! 彼女、依姫さんと渡り合った咲夜さんのご主人様ですよ!」
勇美は正論で返して、何とか依姫を言いくるめようとする。だが依姫もそれで引き下がりはしなかったのだ。
「幻想郷の者との戦いは単純な力の強さでは決まらないわ」
そして依姫は付け加える。──現に自分は主のレミリアよりも、従者の咲夜に対して手こずったと。
「確かに、言われてみれば……」
「それに、弾幕ごっこという精神の美しさを競う勝負方法ともなれば尚の事よ」
「はい」
この理論には勇美も納得した。依姫の助力のお陰で自分も弾幕ごっこをこなせるようになり実感した事だからだ。
弾幕ごっこは単なる決闘ではなく、信念と信念のぶつかり合いなのだ。そして、そういうやり取りこそ幻想郷やそこに住まう者達を
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