三・五章 あなたは生き残りのドラゴンの息子に嘘をついた
第44話 あなたは、嘘をついています
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子どものシドウに謝られ続けてたら人生の目標とかいうのが揺らいじゃうかもしれないもんね!?」
ティアは早口でまくし立てていく。
「そんでもって、シドウにベタベタくっついてきてドラゴンの力の確認? それで勝てそうだからって途中で適当な理由つけて私たちと別れて、こっそりこの山に来たわけ? あんたは確かに強いかもしれないけど、やってることが弱虫だよ?」
アランは答えない。が、やや表情を険しくした。
「あとねー、わたしを無視するのやめてくれない? シドウとシドウのお母さんが殺されちゃったら、わたしはどうなるの? シドウはさ……あ、ちょっと! シドウ!」
「何」
「ちょっとだけ耳塞いでて!」
「塞いでもたぶん聞こえるけど」
「いいから塞いでて!」
「うん。わかった」
「えっとね! あんたがわたしの目の前でシドウを殺しちゃったりしたら、わたしこの先どうすればいいの? 今度はわたしが一生かけてあんたを殺しに行けばいいいわけ? あんたがやろうとしてることってそういうことだよ!?
だいたいね。シドウは鈍いから全然気づいてなかったみたいだけど、わたし今日シドウの両親に会えるってことで、どうやって挨拶しようかとかいろいろ考えてきたの! でもあんたのせいで全部パーになりそうなんだけど? どうしてくれるの? 女の子の恨みは怖いよー?
はい! シドウ! もう耳戻していいよ!」
シドウは言われたとおりにした。
無意味だとはわかっていても、そのとおりにしたほうがいいような気がしたから。
アランは小さくため息をついた。
「あいにく、私の知ったことではないですね。あなたも邪魔をするなら――」
「はーい邪魔しますし戦いますよーだ」
「……あなたでは不可能ですよ」
「私が無理でもシドウがあんたをぶん殴るから大丈夫ですよーだ!」
「それも無理だというのが今のでわかりませんでしたか? シドウくんであっても私に触れることすらできないでしょう」
「そんなのまだわかんないでしょ! シドウ! やっちゃって! このバカは一度痛い目を見ないとわかんないみたいだからっ。ぶん殴っちゃって!」
まだ体から黒煙があがっているシドウだったが、急に慌ただしくしゃべりだしたティアを見て、不思議と気持ちが整理されてくるように感じていた。
「うん。そうだね」
ティアにそう返すと、一歩前に出た。
「俺の体には人間とドラゴンの血が半分ずつ流れています。どちらも家族の絆を守ろうとする動物だからかもしれませんが、俺の頭も家族が大切だと思っているようです。
アランさんと同じ目に遭ったことがないので、俺はあなたのことを完全に正しく理解できていないかもしれません。ですがこれだけは確かです。俺は母親が目の前で殺されるのを黙って
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