第五十九話 新世界からの手紙
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ど多くの作物は採れない。
アルビオン大陸の住人は、長年、如何にして越冬の為の糧を得るか苦心していた。
「そう言えば、ティファニアはどうしているかしら?」
「テファちゃんなら、子山羊達と遊んでましたよ」
「……ちょっと心配だから見てくるわ」
「そうですか、でしたら作業は私が進めておきますね」
「ありがとう、お願いするわ」
「分かりました〜」
ベティはニッコリを笑いシャジャルを見送った。
……
シャジャルが、ティファニアの様子を見に行くと、黒いローブに身を包んだ人物がティファニアと何やら喋っていた。
「ティファニア!」
「あ、お母様」
刺客と思い、ティファニアに駆け寄ると、ローブの人物は、フードを下げて顔をシャジャルに向けた。
フードの人物は、モード大公その人だった。
「あ、大公様……!」
「シャジャル!」
モード大公とシャジャルは抱き合うとキスをした。
辺りにはモード大公の他には誰も無く、シャジャル達が暮らす母屋の方には馬が繋がれていて、お供も連れずにお忍びでウェストウッド村に来たようだった。
「大公様、お忍びで来られるなんて如何されたのです?」
「ううむ、実はな……」
大公は、トリステインのマクシミリアンから手紙が届いた事を告げ、その中に誰にも見つからない格好の隠れ場所を見つけたと書かれてあった。そして手紙の最後に『すぐにでも二人を移して欲しい』と、締めくくられていた。
手紙にはヌーベルトリステインの事は一言も書かれていない。いくら同盟関係でもおいそれと国家機密を漏らすわけには行かなかった。モード大公は何処かの無人島に、二人隠すとばかり思っていた。
「これは……」
「うむ、私としてもお前達を手放すのは心苦しいが、マクシミリアン殿に迷惑を掛ける訳にはいかない。数日中に村を引き払ってくれまいか。トリステインへのフネの手配は私がしておく。もっとも怪しまれないように定期便うを使う予定だが……」
「はい、準備をしておきます」
「護衛役の者は、任を解かれ帰国する事になっている。ここを発つまでに、別れを済ませておくと良い」
「畏まりました。それで、今日はお泊りになられるので?」
シャジャルの美しい顔がほんのりと赤く染まった。
「ああ、勿論だ。その為に来たのだから」
「本当!? お父様と一緒に寝られるなんて、とっても嬉しいわ」
ティファニアが嬉しそうに大公に抱きついた。
この日、モード大公は自身の居城とは比較にならないほどの小さな家に泊まり、親子水入らずの時間をすごした。ちなみに部外者のベティは、空気を呼んで隣の納屋で寝た。
数日後、シャジャルとティファニアはウェスト
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