三章 天への挑戦 - 嵐の都ダラム -
第39話 天へと駆けのぼる国、ダラム
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うだ。
そしてすぐに王城に乗り込んで女王を叱責。「派手に失敗するはずだ。その目で確認しろ」と、そのまま強引にここまで連れ出したということだった。護衛の兵士たちは慌ててついてきたらしい。
普通の人間であれば絶対に許されないことであるが、シドウの師匠は女王の恩師にあたる存在でもあるため、お咎めはないだろうとのこと。
一通り現場の確認が済んだ女王とシドウの師匠が、王都へ戻ることになった。
女王は人型モンスター・エリファスが言っていた大臣の疑惑の件の対応があるし、師匠は師匠で用事があってダラムに寄っていたそうで、あまりのんびりもできないそうだ。
シドウとしては久しぶりの師弟再会でもう少しゆっくり話したい気持ちもあったが、事情があるなら仕方がない。
ということで、ティアとともに二人を見送ることに。
「では行くかの、女王よ」
「ああ。シドウ・グレース、ティア・シェフィールド。また会おう」
女王が馬車に乗り込む。
次にシドウの師匠が続こうと片足をあげて、一度取りやめた。
「そうだ。お嬢さん、ちょっといいか」
「え? わたし? 何?」
呼ばれてそばまで行ったティアが、何かを耳打ちされた。
そしてシドウのもとへと戻ってくる。
シドウのほうには、耳打ち後の「任せなさーい」というティアの元気な声だけが届いた。
女王と師匠、兵士たちの馬車を見送ると、シドウは首をひねった。
「女王様と先生、仲があまりよくなさそうだったけど……大丈夫なのかな」
ティアは手を腰に当てると、シドウの顔を覗き込むように返してきた。
「ふっふっふ、素人のシドウくん」
「何、急に」
「あの二人、全然仲悪くないよ」
のけぞりながら一歩下がったシドウに、ティアは断言した。
「え? そうは見えなかったけど」
「わかってないなー。あれは仲悪いどころか、ものすごくいいんだよ。良すぎてああなの」
「本当?」
「ほんと!」
自信満々に、そう言う。
素人呼ばわりされたシドウとしては、ティアを信用するしかない。
「ふーん。で、さっき先生がティアに何か耳打ちしてたけど。なんて言ってたの」
「知りたい?」
「うん」
「ふふっ、内緒!」
「ひどいな」
「だって、シドウに聞かれていい内容なら耳打ちしないでしょ? 耳打ちしたってことは多分言わないほうがいいんだと思うよ」
ティアはニヤニヤしながら、瓦礫の片付けに戻っていった。
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