三章 天への挑戦 - 嵐の都ダラム -
第39話 天へと駆けのぼる国、ダラム
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はならない。うまく付き合い、その力を利用させてもらう対象だ。そこを間違えるとこの国は不幸になる。いいな」
そこまで言うと、女王の頭をもう一度杖で叩いた。
女王が叩かれた部位を押さえているが、後ろにいる兵士に動じる気配はまったくない。なかには顔を崩している者までいた。
「さてシドウ。お前はこのあとどうするのだ?」
「あ、はい。このあとは、掃除が終わったらこの魔法使いさんたちを王都まで送って、それから……」
そこで一呼吸置き、シドウはティアのほうを見た。
彼女は無言で、だが意思を持ったしっかりとした表情で、うなずいた。それを確認してシドウは続ける。
「もう、グレブド・ヘルに行くしかないと思っています」
グレブド・ヘル。
周囲を断崖絶壁に囲まれた高地。そして、旧魔王城がある地でもある。
シドウからその言葉が出ても、師匠は意外だというような表情は見せなかった。
「私も不穏なアンデッドの事件が起きているのは聞いている……。何やら尋常ならざる動きがあるようだな」
「はい。俺、一連の事件に偶然首を突っ込んできたんですが、あれらは新魔王軍を名乗る人型モンスターのグループが犯人みたいなのです。
今もアンデッドの技術開発を続けていて、最終的には大魔王の遺骨をアンデッドとして蘇らせることを目標にしているようです。規模自体はまだ大きくないと思いますので、早めに行けばとめられるかなと」
なるほど、とシドウの師匠はうなずいたが、そこでシドウにとって予想外な提案をしてきた。
「場所が場所だ。行くのであれば、ぺザルの母親に一度顔を見せていくといい」
「え、でもぺザルはだいぶ遠いですし。状況を考えると、あまりゆっくりもしてられないと言いますか……」
「空を飛んで行けばいいだろう。ならば一瞬で着く」
「それ、騒ぎになりますって」
「柔軟に考えろ。こいつを使えばいい」
また女王の頭を杖で、今度は軽く叩いた。
「女王よ。戻ったらぺザルまでの領地内に大至急で連絡を回せ。近く、空にドラゴンが飛ぶとな」
女王はシドウの師匠をひと睨みすると、一転柔らかい微笑みをシドウに向けた。
「そのとおりにする。シドウよ、気兼ねなく空を飛ぶとよい」
「あ、すみません女王様。よろしくお願いします」
「気にするでない。お前というドラゴンと人間の間にうまれた子のためだ。このジジイのためでないなら喜んでやらせてもら――痛っ」
また強く叩かれたようだ。
師匠と女王がセットで登場、そして現場の検分を始める。
突然すぎてシドウは経緯がつかめていなかったが、検分中に詳しい話を聞いた。
どうやらシドウの師匠は偶然ダラム王都を訪れており、これまた偶然に今回の嵐を消す実験の話を耳にしたよ
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