ターン26 復讐の最終方程式
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れを少女だって理解していることはわかっている。それでもデュエルポリスとして、時代遅れな前時代デュエリストの最後のけじめとして……いや、そんなものは後付けの理由でしかない。個人的な理由からも彼女は自分が戦うべきだと考えており、間違っても新たな世代を代表するであろう少女をこの最前線に向かわせるわけにはいかなかった。
もう少しだ。ほんの気休めに過ぎないにしろとにかく避難さえ完了すれば、彼女自身が前に出て戦うことができる。だがそれまでは、彼女には市民の安全を第一に考える義務があり、下手にデュエルの渦中に入り込むわけにはいかない。あんな思いを味わうのは、1度こっきりでも多すぎるぐらいだ。
「ぎゃんっ!ま、まだまだ……!」
「まだ、か。意地を張るのもいいが、随分と往生際が悪いものだ。早く楽にしてやろう」
悲鳴、そして苦痛を噛み潰したような啖呵。以前のデュエルで感じた彼の実力から考えても、もう長くはもたないだろう。そんなことを考えているうちに、どうにかこの場にいた観客のうち最後の1人を戻ってきた笹竜胆に引き渡す。
「頼んだぞ、姫さん」
「うむ、後のことはわらわに任せるがよい。ほれ、お主もついてまいれ。なに、大丈夫じゃ。『十六夜の決闘龍会』の名において、安全な場所まで送り届けようぞ」
このテロ計画が完遂すれば、安全な場所なんてものはここら一帯には存在しないのは百も承知だ。しかしそんな事実はおくびにも出さず、不安そうな少女を元気づけるように笑う。
「そういうことさ。さ、あとはアタシらデュエルポリスに任せて家に帰りな」
「あ、あの!」
ステージ裏へ誘導されつつ、幾度となく振り返ってその場から立ち去ることを躊躇していた最後の1人。眼鏡の少女は彼女らの励ましにも安心した様子はなく、おずおずと声を上げた。
「あの人は、あの人は大丈夫なんですか!」
目に涙を溜めながら指さす方角からは、断続的に炎が吹き上がったり何かが切断される斬撃音やその感触が伝わってくる。
「竹丸さん……」
それっきり言葉に詰まる少女と、険しい目つきのまま何も言うことなく視線を逸らす糸巻。誰も何も言わなかったが、その沈黙は十分に答えだった。
「どうして、どうしてですか!?私、デュエルモンスターズは怖いものじゃない、楽しいものだからぜひ見に来てねって、それで、それで今日は……なのに、なんでこんなことになるんですか!?あんなに痛そうに、怒ったり、苦しんだり……ねえ、どうしてなんですか!」
震え声はやがて感情の昂ぶりと共に、嗚咽混じりの悲痛な叫びへと変わっていく。少女が親友として何か言葉をかけようとして口を開き、結局また押し黙る。デュエルモンスターズの楽しさをこの少女に説いたことが間違いだったというのなら、少女自身もそれは同罪だっ
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