春を味わう筍料理・1
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分は悩んだ後、そう結論付ける2人。いや、速攻で思い付きそうな案だけどな?それ。
「あいよ、酒はどうする?」
「あ、それもあった!」
「どどど、どうしよう飛龍!?」
そういう時こそ、『店員さんに聞け』ってのが鉄板だろうに。
「あ〜……今日のお通しならビールか焼酎だな」
仕方なくアドバイスしてやる。日本のビールは和食にも合うように作られてるし、焼酎なら中華でも和食でも上手くマッチする。
「じゃあ焼酎ロックで!」
「アタシもアタシも!」
「銘柄は何にしますか?」
すかさず尋ねる早霜。仕事にソツがない。
「ん〜……お任せで!」
「では、大分の麦焼酎『兼八』等如何でしょう?甘く香ばしい麦の香りが良いですよ……♪」
「「じゃあそれで」」
「ふふふ……承知しました」
手際よく支度された2つのロックグラスに、トクトクトクトクと注がれていく澄んだ液体。しかし芳醇な香りが水でない事を確信させる。
「ホントだ……甘い匂い」
「ちょっと麦チョコっぽいね」
ただし匂いに騙される事無かれ。2人に出してやった『兼八』の原酒のアルコール度数は42度。冷凍庫でも凍らない強烈な酒だ。甘い香りにそそられて、一気に煽るとクラっと来ちまうからな。
「ハイよ、お通しお待ち」
「ではでは……」
「今日も1日お疲れ様!」
「「かんぱ〜い♪」」
ロックグラスがカチンと小気味よい音を立てる。一気に行くかと思いきや、そこはベテランの飲兵衛。匂いでアルコール度数の高さを嗅ぎ付けたか、チビリと舐めるように啜る。
「くぅ〜っ!喉と内臓に染み渡るぅ!」
「これよね!これが無くちゃ始まらないわ!」
そして口を湿らせた2人は、早速とばかりにお通しに襲いかかる。
「油麩うんまっ!」
「スペアリブ柔らかっ!」
「いやお前ら、筍はどうしたよ筍は」
あくまでも今日のメインは筍なんだが。
「解ってるよぉ提督ぅ〜」
「私達お楽しみは後に取っとくタイプなのです!」
そして漸くメインに取りかかる。醤油で仄かに茶色に染まった筍にかじりつけば、シャキ、シャキ、コリッ、コリッと聞いていて気持ちいい位の音がする。そして、
「「春だねぇ〜……♪」」
2人から揃いの感想が漏れる。
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