第五十八話 ヌーベルトリステイン
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た。
それも一つや二つでは無い、50アルパン(およそ16キロ四方)もの広大な土地から数百万もの石が吐き出され、各地で石の塚が出来上がった。
「す、すごい」
あまりのダイナミックな魔法にアニエスは、驚愕半分、呆れ半分といった表情でその光景を見ていた。
「よし、次。クリエイトゴーレム!」
マクシミリアンが杖を振るうと、積み上がった石塚が人馬ゴーレムに変貌した。
通常の上半身がウイングフッサー下半身が装甲軍馬の形ではなく、上半身は非武装で下半身は農耕馬の様な形をしていた。最大の特徴は耕作用のプラウが取り付けられ、それを牽引する事で耕作が出来るような形になっていた。
「人馬ゴーレム達、農地を耕せ」
およそ千騎の人馬ゴーレムは、トラクターの様に農地を耕し始めた。
その光景を見て、セバスチャンが感心したように言った。
「今までの歴史で、魔法をこの様な形で使った事は聞いたことがありません」
「そうだろうさ、今までの魔法は大抵が戦争の手段か、貴族の力を誇示する為の手段だったからな。そもそも、農作業は平民の仕事で、魔法で農地を興すなんて発想は、永い歴史の中で生まれなかったみたいだね」
マクシミリアンが答えた。
「流石は殿下、私自身も農作業は下賎の者が行うもの、というイメージが出来上がっていたようですね。反省しなければなりません」
セバスチャンは目を細めてマクシミリアンへ羨望のまなざしを送った。
マクシミリアンは『気にするな』と手を払って、セバスチャンの眼差しに答えた。
人馬ゴーレムが、広大な農地を耕し終えたのは、日が西に傾きかけた頃だった。
「次の農地の候補地に向かおうと思ったが、そろそろ日も傾く頃だし、今日はこの辺にしておこう」
「御意」
「分かりました」
程よく耕された農地を後にして、マクシミリアンら三人はアルゴルキン砦に帰還する事になった。来たときと同じように人馬ゴーレムに馬車を引かせての帰還だった。
岐路の途中、馬車の上でアニエスがマクシミリアンに尋ねた。
「殿下は、あの農地に何を植えられるお積りでしょう?」
「そうだな……新種のトウモロコシも良いし、本国から小麦を持って来させるのも良い、食べ物に限定せずに綿花を栽培するのも良いな」
と、マクシミリアンは上機嫌に答えた。
「楽しそうですね」
「そりゃあ楽しいさ、このヌーベルトリステインには無限の可能性が秘めているんだ」
「ヌーベルトリステイン?」
「新しいトリステインという意味だ、アルゴルキン島周辺も新トリスタニアと呼んでいるだろう?」
「そういえばそうでした……」
「まだまだ、こんな物じゃないぞ。更に版図を広げてヌ
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